花束を君に

□No.6
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「おはよう……」
「サキ」
いきなり名前呼びをされて少し戸惑ってしまった。
ドキッとする。
「すまなかった」
と、出されたのはピンクと黒のストライプ柄のペンケース。
それはまさに、私のもので。
「ありがとう! ……私のドジだから、海道くんは気にしなくて良いよ?」
「まあ、僕の責任でもあるからな」
あんたはどっかの良家の息子か。
……と考えていたら転入当初の戦闘機登校と紙袋に入っていた高級紙を思い出し、そう言えばボンボンだったなと苦笑いする。
「ジン!」
「あ、サキじゃない」
このままこんな雰囲気かなと思っていたら助け船2艘。
「二人ってこんなに仲が良かったっけ?」
それとともにアミが変な笑みを浮かべる。
刹那に思う。
助け船だと期待した私がバカだったと。
もうバンなんか嫌いだ。
無神経すぎる。
そんなきつめの冗談を叫びたい。
ちょっと気まずい空気から普通になったと思ったらもっと気まずくなって。
どこの二流映画だよと嘲笑したくなった。
「バンくん」
「何だ?」
「悪い冗談はやめてくれないか」
その瞬間、私とアミは吹き出してしまった。
まさか海道くんが面白いことを言うとは思わなかったから。
「僕は本気なんだ」
「ハイ、スミマセン」
と言いながら、全然心を込めていない私であった。
むしろ心の中でずっと笑っていた。


ちなみにこのあと、バンにはしっぺ一発を食らわせておいた。
本気ではなかったので、てんで話にならない力だった。
またやらかしたら本気でやってやる。
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