花束を君に

□No.9
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そんな日もあったかな。
まあ何だかんだあって1年あれから経って。
またバンとアミ、そして海道くんとクラスが一緒になった。
カズはやっぱり、私たちとは違うクラスだ。
もう受験生なんだと気を引き締めようとするが、茫漠とした未来を思い浮かべても結局は集中力が切れるだけだ。
そうして私は、LBXをいじり続ける。
ちなみに海道くんだけは何故か名前呼びに出来ず、名字止まり。

「明日で夏休みか……」

じりじりとした熱気。
むわっとした空気。
汗をタオルで拭く。
熱を帯びたアスファルトを走る。
近くで、風鈴の音が聞こえる。
夏の風流とか言うけど、全然涼しくならない。
……ああ暑い。
玉のように、汗が飛び散る。


おはようって、教室に入ろう。
そう心に決め、上履きに履き替える。
階段をかけ上る。
あと3分で遅刻だ。
今日で1学期の終わりだと言うのに。
「はぁ」
息が弾む。
蝉がけたたましい。
ジジジとどうしても耳に入る。
教室の扉を開ける。

「もう、遅いわよ」
「アミ……ごめん」

結局、怒られた。


「この夏休みには……」
蒸し暑い体育館に、長ったらしい話。
喋ったら怒られそうなので、話ができないという状況下だ。
早く教室に帰りたい。
そう思っていたので、校長の話なんてちっとも聞いていない。
夏休みに入ったら、いつもと変わらずにLBXをしようかな。
今のユピテルを本格的にチューンアップして、もっと強くしよう。
何て考えていたら、絶対受験で何か良くないことが起こるな。
窓から眺む積乱雲。
小さい頃は入道雲と呼んでいたそれを見て、夏休みの始まりを感じた。
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