DY小説
□戦う理由
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ただ、“軍人”という響きに憧れただけ。
軍人だなんて言ったら、女の子にモテるだろうから。
そんな、軽い気持ち。
戦う理由なんて、どうだって良い。
――
先日、俺はイザークに告白をした。
士官アカデミーの時代から片想いをしていた。
試験や訓練はその場をやり過ごせれば良いと、怠けている自分の隣で、
ライバルに負けまいと毎日必死に努力をするイザークの姿を見ていたら、
いつの間にか、恋に落ちていた。
だけど、この想いを伝える気は起らなかった。
男を好きになるなんて、自分でも出来るだけ認めたくなかったし、
卒業して隊の配属が違えば、この気持ちも冷めるだろうと思っていたから。
そして、想いを胸に秘めたままアカデミーを卒業し、俺達は正式にザフトの軍人になった。
ところが、配属先を発表されたら、なんと二人ともクルーゼ隊で。
俺とイザークは同室だった。
イザークの事を忘れられると思っていた俺としては、最初は複雑な気持ちだった。
だけど、
“プラントを守るために”、と固い決意を胸に赤服を身に纏ったイザークは、
アカデミー時代よりもずっと輝いていて。
俺は一層、イザークに惚れた。
ザフトに入ると、今までよりもイザークと行動を共にすることが多くなった。
家族と離れて軍艦の中で仲間と一日を過ごすことで、
イザークの私生活や、アカデミー時代には知らなかった細かい性格まで顕になる。
時を重ねるにつれ、気持ちは増していくばかり。
もう自分でもこの気持ちを認めざるを得ず、寧ろすがすがしい気持ちだった。
しかし、そんな風に呑気で居られるのも最初のうちだけだった。