DY小説

□戦う理由
1ページ/4ページ



ただ、“軍人”という響きに憧れただけ。
軍人だなんて言ったら、女の子にモテるだろうから。
そんな、軽い気持ち。


戦う理由なんて、どうだって良い。




――




先日、俺はイザークに告白をした。


士官アカデミーの時代から片想いをしていた。

試験や訓練はその場をやり過ごせれば良いと、怠けている自分の隣で、
ライバルに負けまいと毎日必死に努力をするイザークの姿を見ていたら、
いつの間にか、恋に落ちていた。

だけど、この想いを伝える気は起らなかった。

男を好きになるなんて、自分でも出来るだけ認めたくなかったし、
卒業して隊の配属が違えば、この気持ちも冷めるだろうと思っていたから。

そして、想いを胸に秘めたままアカデミーを卒業し、俺達は正式にザフトの軍人になった。


ところが、配属先を発表されたら、なんと二人ともクルーゼ隊で。
俺とイザークは同室だった。


イザークの事を忘れられると思っていた俺としては、最初は複雑な気持ちだった。


だけど、
“プラントを守るために”、と固い決意を胸に赤服を身に纏ったイザークは、
アカデミー時代よりもずっと輝いていて。


俺は一層、イザークに惚れた。


ザフトに入ると、今までよりもイザークと行動を共にすることが多くなった。

家族と離れて軍艦の中で仲間と一日を過ごすことで、
イザークの私生活や、アカデミー時代には知らなかった細かい性格まで顕になる。

時を重ねるにつれ、気持ちは増していくばかり。
もう自分でもこの気持ちを認めざるを得ず、寧ろすがすがしい気持ちだった。


しかし、そんな風に呑気で居られるのも最初のうちだけだった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ