DY小説

□kiss me, kiss youA
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仕事を終えて食事や課題を済ませた頃には時計は既に亥の刻を過ぎ、艦は静まり返っていた。


一日の激務を終えれば、短いながら癒しのひと時が訪れる。
薄暗い部屋で、俺はいつもの如くルームメイトのイザークと恋人らしい時を過ごしていた。



ベッドの上で他愛のない会話をしながら、少しずつ身を寄せ合う。


これが俺達のいつもの流れ。

きまぐれで素直じゃないザークをその気にさせるには雰囲気が大切だった。


俺としてはすぐにでもこの時間を楽しみたいけれど、
徐々に柔らかい表情へと変わっていくイザークは何度見たって飽きない。
穏やかなのにどこか官能的で、寧ろいつまででもこうしていたいとすら思う。



だけどやっぱり、我慢なんて出来ない。

俺はイザークの頬にキスを一つ落とすと、シャツを捲り上げて白い胸に顔を埋めた。



身体のどの部分もほど良く筋肉が付いていて、見た目も触り心地も最高。
そのまま手を滑らせれば、イザークは小さな声を上げ、目をぎゅっと瞑って心地良さそうにのけぞる。

その姿を見て抑えが利かなくなり、
やがてその身体を愛撫するのは手ではなく唇へと変わる。



「んっ。」



全身にキスをされて、ひくん、と身体を震わせる姿なんてたまらなく可愛い。


俺はイザークの身体の所々に唇を押し当て、無我夢中で吸い付いた。



本当は、今までずっとこうしたいと思っていた。

初めのうちはイザークが驚かないようにと我慢していたけれど、


…もうそろそろ、キスマークくらいは付けても良いよな。



いつもより少し早いイザークの胸の鼓動を感じながら、
鎖骨や腹にも唇を寄せて、イザークの身体に幾つもの朱い花を散らした。




そして。



「!いた…っ、何だっ?」


「あ、ゴメン、痛かった?」



なるべく痛くないようにと、それまで慎重に唇を落としていたけれど、
首に唇を寄せたとき、すぐ耳元で可愛らしい声が聞こえたので、ついつい力が入ってしまったのだ。




「?…何を、しているんだ?」


「ん?キスだよ。」


「…え?」



イザークは驚いた顔で俺の方を見ている。



「うん、キス。」


「だ、だっていつもの…キ、スは…痛く、ない…、ぞ…?」



イザークは初めての感覚に不思議そうに首をかしげる。

“キス”と口にするのが恥ずかしいのか、徐々に声が小さくなって吃っていた。


そんなイザークがまた愛おしくなって、今度は唇にキスを落とした。
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