輝くイシは夢を信じて


□決断を信じますか?
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 ケイネスの俺を見る目が変だ。
 哀れむような、蔑むような、変な目。
 まぁそんな目を向けられると、俺は当然またいつもの疑心暗鬼が発揮される訳で。
「……んだよ?」
「あ、いや…何でもない」
 何なんだコイツは。ソラウに対して魅了してるとでも思ってんのか?それとも昨日のバーサーカー戦が不満か?
「……」
 ……昨日のことについて何を思うか俺にはわからないが、不満があれば昨日のうちに言うだろうし、厭味を盛大に込めながら蔑むように言葉で畳み掛けるだろう。思考の末、とりあえずバーサーカー戦への不満という可能性を消した。
 ……ソラウについては心配していない。召喚されてから変わらない態度で接している。……あんな奴と……ディルムッド・オディナと同じ道を辿ってたまるか。
と、ケイネスが唐突に窓から顔を出した。
「……どうした?」
「魔力パルスだ。教会のある方向か」
 ケイネスは外を見て数回頷くと、俺達を見た。
「ソラウ、使い魔を教会へ派遣するぞ。どうやら何かあったようだ」
「わかったわ」
 ……これは、遂にあれがあるのか。
 キャスター討伐……互いに戦いを一時的に止めて、キャスターを倒すことを第一とする。
それにしても、本当ならこれは昨日あるはずだった。それに、本当なら衛宮切嗣が俺達のホテルを襲撃するはずだったのにそれがなくなっている。分かってはいたが、こんなにも早くズレるなんてな……恐らく、キャスター討伐のズレについては日本に来た初日に俺がキャスターに関わった事と関係があるのだろう。
「……」
 だが負けられない。聖杯を手に入れるために。

   *

「今夜、キャスターはアインツベルンの城を訪ねると思う。違う世界ではディルムッドはセイバーと共闘するが、ケイネスが衛宮切嗣を倒そうとして城に乗り込むんだ。で、まぁ……あとは、前話した通り」
 二人は目を伏せる。やがてケイネスが出した決断は、キャスター討伐を見送る事だった。それには賛成だ。俺は基本的にはケイネスに従う方針でいるし、令呪についてはそんなに必要でもないだろう。
「さて……まぁキャスターは置いといて、一番の問題はセイバーだが……」
「勝てる気はしないな…誰かとぶつかってやられてくれるのが一番良い」
 ここまで言って、ゆうの顔が脳裏を過ぎる。俺は軽く頭を振った。

   *

 夕方も近くなり、今夜はどうするかと考えていると、唐突に電話がなった。ケイネスが電話に出る。恐らくフロントからだろう。
「うむ……何? あぁ……わかった。行こう」
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