輝くイシは夢を信じて


□共闘を信じますか?
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『ランサー、有利不利はともかく、やはり私が戦う。だから、子供を頼む!』

 ……重い役押し付けやがって……。
 地面を走る。既に死体の山となっている森は血の臭いがしていた。と、俺の耳は子供の啜り泣く声を聞いた。声のする方に近付くと、小さな子供が木の陰に隠れて泣いていた。
「……おい」
「うわぁっ!? お、お願い! 殺さないで!」
「静かにしろ! 今助けてやる。俺は味方だから」
 子供は俺を見上げた。そのうち涙を拭う。
「立てるか?」
 子供は頷き、立ち上がった。
「良いか、向こうに真っすぐ走ればここから出られる。一人で行け。俺はお前以外の子供を助けて来る」
「っ! い、嫌だ! お兄ちゃん一緒にいて!」
「え、はぁ!?」
 子供は俺の制服を握って離さない。参った……。
「−−!」
 ゲイ・ジャルグとゲイ・ボウを構え、ゲイ・ボウを開帳する。そこに、ノソノソと歩いてくる大きな人影があった。
「やはりここでしたか、ランサー」
「キャスター……」
 キャスターの側には沢山の子供がいる。人質のために取っておいたのだろう。
「一度貴方達の拠点であるホテルを訪れましたが……誰もいなかったもので、ご安心を、誰も殺してはいません」
「……俺に用はないって言わなかったか、前」
「それは前の話ですとも。今は違うのです」
 キャスターはどこか遠くを見るように話した。
「ねぇランサー、貴方も気付いているのではないですか? ジャンヌの記憶を取り戻す方法を」
「だからあいつは……」
「私は気付きましたよ」
 人の話を聞け、アーチャーといいお前といい。
「子供の姿をした英霊を贄に差し出せば良いのですよ、ねぇ?」
 体温が一気に下がるのを感じた。俺達の拠点を訪れ、俺に用があるという。『用』とは−−。
「俺を贄にしようってか……」
「えぇ! そうですともそうですとも! 全てはそう、ジャンヌがため! 協力してくださいますね?」
「誰がするか。大体あれはアルトリアだって何度も……」
 ふと背後に異変を感じた。見れば、俺の制服を掴んでいた子供の身体が大きく膨れ上がっていた。
「な−−ッ!」
 パンッと言う破裂音。嫌な予感がしてキャスターが連れていた子供に目をやると、やはり同じような事が起こっていた。そして急いで記録のページをめくる。そう、あの海魔は魔導書を貫くと血になっていた。
 −−やばい!
 逃げようとしても時は遅く、俺は海魔に拘束された。
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