スノードロップ
□私のヒーロー
3ページ/3ページ
皆がロードワークに行った。
その間にやることはたくさん。
さっきの自主練で使ったタオルを洗濯機に突っ込んで、ドリンクの準備や、新しいタオルの準備。これが以外ときつかったりする。
二十分ぐらいを目安にやっているけど、今日も二十分以内で終わらせることができた。
部員達を待っていると、
いつも通りの速さで1人、帰ってきた。
『お疲れ様』
タオルとドリンクを手渡すと、受け取ってタオルで汗を拭いてる。そんなに汗はかいてないんだなぁ...なんていつも通りの姿を見つめる。
「...なんだ?」
『えっ、』
「何かついてるのか?」
『あ、いや、何でも無い』
焦った。
目があっただけでも鼓動が早まる。
元々威圧感があるらしいけど、私にとってはそうじゃなくて。
威圧感は寧ろ感じない。
シャワーを浴びに行くのか、ドリンクを並べた長机の端に、折り畳んだタオルを置いて出入り口へと歩いて行く後ろ姿を見つめてしまう。
上下ジャージだから見えないけど、その上からでも分かる体格の良さだったり、私が見上げると首が痛くなるくらいの身長だったり、この高校の主将として相応しい人格。
誰にでも笑顔を振り撒くとかじゃなくて、実際は逆だけど、傍若無人とはかけ離れている。強いアスリート選手として相応しいものを全部持ってる人だ。
一昨年の夏、私を救ってくれた人。
そう、若利が私のヒーローだ。
.