ヴァンパイア騎士 -蒼の姫-

もう一度その手に触れさせて
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雪がチラつく季節になった。
室内に居れば寒くはないけれど、こうして外に出ていれば、コートを羽織っていても寒いものだ。


『.....嫌な気配がする』


昔、感じたことのあるこの違和感。
誰だったかなんて思い出せないけれど、自分にとって良い影響を与えた人ではないことは覚えている。

直感的に言えば、同胞。
強い力を持つ、何者かの気配。枢と似た、禍々しいモノ。


「...姫咲」
『....ん?』


後方から掛かった声に振り返らずに返事をする。
風に髪を揺らす莉磨が、嘆息交じりに言葉を続ける。


「ずっとそこに居たら冷えるよ」
『元々体温低いものでしょう?』
「それはそうだけど...」
『それにやることもないの。書庫の本は全て読んだし、授業の予習も課題も終わった。他にやることないわ』
「....支葵、待ってるよ」
『莉磨を待ってるのよ?』


ああ、我ながら嫌な性格してるな。
莉磨が支葵を大事に想ってることなんてもうずっと前から知ってるはずなのに。
それなのに莉磨に嫌な思いをさせてる。

純血種は傲慢、なんてよく言ったものだ。















(傲慢という言葉ほど)
(今の私を表す言葉はない)
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