Shine blast

□"光"との出会い
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あれは、去年の夏。

試合の合間に訪れた男子の会場。
同中である北川第一のユニフォームを見つけて、観覧席から観戦していた。両脇にはチームメイト達が同じ様にコートを見下ろしていた。

「雪ヶ丘ってどこー?」
「聞いたこと無いよねぇ....」

チームメイトが口々に言う中、あたしは同中のバレー部に目がいった...訳ではなく、注目していたのは無名の対戦校だった。





見たところ初心者ばかり。
強豪である北川第一に喰われる立場であることは誰の目から見ても明らかで、得点を見れば尚そう思わざるを得なかった。時間制限のある競技ではないからこそ断言は出来ないけれど、強豪と弱小という呼び名がある以上はそうだと確信めいた何かがあった。

だけどそのチームは、諦めてはいなかった。


一度は目に光が無くなった。
だけどオレンジ色の髪をした少年が全力でプレーする姿に感化されたのか、下手なりにやれる限りの力を尽くしていた。



__________________...その姿に見惚れてしまった。

感覚的に慣れていない、北川第一のそれとは違う歪んだトスが上がった。
とても速攻は、スパイクは厳しいと思えたそのトスを、その少年は物凄い跳躍力でそれに追いつき、スパイクを打ったのだ。
たったそれだけで、あたしだけでなく、チームメイトも心を奪われたように試合に釘付けになっていた。












結果的に大差で負けを喫した雪ヶ丘中。
敗北の二文字を刻んだ少年と、勝利の二文字を刻んだ彼が、再び高校で出会うことになろうとは....誰も予想していなかっただろう。



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