Shine blast

□真意と偽り
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『練習試合?』
「おう。来週、青葉城西と」

偶然下駄箱で会って、教室までの道を並んで歩く。
飛雄と居るとやっぱりバレーの話になって、最近の部活の話に続き、この発言だ。

『青葉城西って....アイツがいるとこ、でしょ?』
「ああ」
『どうなるんだろうね』
「..........」
『しかも、アイツだけじゃないでしょ?金田一とか国見も青城行ったんじゃなかった?』
「......ああ」

フイ、とあからさまに視線を逸らす飛雄。
一年の教室に着いて、自分のクラスに入ろうとした飛雄の肩に手を置く。

『飛雄には日向くんが居るもんね。きっと大丈夫だよ』

飛雄は面食らったように目を瞬かせた。
がんばれ、と肩を叩いてあたしもクラスへ入った。




「ねえ、アンタが疾瀬さんでしょ?」
『.....誰?』

いつもよりちょっと早い時間だからか、教室には人が居なくて、荷物だけ置いて校内をうろついてみる。まだ入学して日が経ってないから、校内で迷うこともたまにある。
体育館の近くで見付けた自販機でミネラルウォーターを買って教室までの道を戻ろうとした時、突然後ろから声をかけられた。
飛雄よりも高いってぐらいの身長と、神経質そう、っていうか腹黒そうな顔。...何て言うか同類の匂いがする。

「....山口、この人だろ?」
「うん。この間見たし!!」

その人の後ろに居た、飛雄とあんまり変わらないぐらいの身長の人。まぁあたしより10cm以上は高いんですが。気弱そう。
でもよく見るとこの2人どっかで見た気がしなくもない。記憶力、と言うより人の名前を覚えるのが苦手なあたしは中々覚えるまでに時間を要する方だと思う。
現に、クラスメイトも5人くらいしか覚えて無い。

「バレー部のマネージャーでしょ?」
『....そう、ですけど』
「...何で敬語。同じ一年だし、クラスも同じじゃん」
『ああ、そう、.............えっ?』

長身の方を見上げてみる。...居たっけか、こんなの。

『お名前は』
「月島蛍」
『んー..........ああ、はいはいはい』
「思い出してないだろ」

適当な返事もアッサリ玉砕。
月島は嘆息して、あたしを見下ろす。その視線はまるで「コイツ馬鹿じゃねーの」って言ってた。うん、絶対。

『いや思い出したよ!........たぶん』
「ハァ...まぁいいけど。俺達もバレー部だから、よろしく」
『ああ、そうだったんだ。…….俺、"達"?』

ぴょこ、っと月島くんの後ろから顔を出した彼は頷いた。

「よろしくね、疾瀬さん!」
『こちらこそ〜』

山口と言った彼は、月島より断然マトモそうだなと確信した。仲良くなれそう。
その2人と教室に戻ると、半分くらいの人が教室の中に居て、そこで別れた。






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