Shine blast

□再会と勝利
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青葉城西との練習試合を明日に控えた今日。
皆気合が入ってるように見える。
....けど。

『澤村さん。日向くん....大丈夫ですかね』
「.....マズイ、よな」
『緊張の塊ですね〜』

あたしでもあんなに緊張したことはない。
始めて試合に出た時は確かに緊張したけれど、元々緊張が表に表れないからか、あれほどではないっていうのがよく分かる。

「疾瀬、なんか励ましてやって」
『え、無理ですよ...』
「ほら、人生の先輩としてさ」
『それなら菅原さんの方が上ですよね』
「.......頼むよ疾瀬」

手を合わせて頼まれる。
菅原さんですら手に負えないっていうのか。まぁ、明日だしなぁ....。

『日向くん』
「........」

駄目だ、意識が明後日の方にいってる。
呼び掛けた声にも気付く気配がない様子に少し焦る。

『ひーなたくん、』
「...........えっ、?」
『大丈夫?』
「だ、だだだ大丈夫って、なに、が?」
『...大丈夫じゃないね。試合は今日じゃなくて明日なんだからさ、せめて今日は意識ちゃんとして練習やんなきゃ』
「お、おおお、おう!」

ガッチガチの日向くんの背中を押してコートに向かわせる。ネットの向こうでは、鬼の形相の飛雄が居る。

...アレも緊張の原因なのかも。




部活が終わって、それぞれストレッチしながら雑談をしている。
窓の外は真っ暗で、まだ夏は来ないなーと思いながら欠伸をする。

「....真夜、」
『ん?』

清水先輩とタオルとかを片付けたりしていると、飛雄に声を掛けられた。
いつもなら邪魔になるからと、用があってもあたしの手が空くまで待つ飛雄が今そうしてくる事に驚いた。

『どうしたの?』

飛雄は手にしていたバレーボールを見下ろして、一度躊躇ったのか息を吐く。
顔を上げたかと思えば、まだ片付けていないコートを指差した。

「.....俺のトス、打ってくれ」

澤村さんも、菅原さん達も。すぐ傍に居た清水先輩も驚いている。

合宿に参加する旨を誰にも打ち明けていない時分、そんな言葉を聴くとうっかり"あれ、飛雄に言ったっけ"と脳内が混乱状態に陥りかける。
誰も知らない状況でそんな言葉を口走る飛雄の思考回路が理解出来ずに固まった。




『_____________.......は?』





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