Shine blast

□始まるセカイ
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朝、目が覚めて携帯を見るとメールが二件来ていた。


一つめは飛雄からで、


"頑張れよ"

っていう一文。澤村さんあたりが言ったんだろうけど、飛雄に応援されるのは久々で、笑みが零れる。



もう一つは.......


"楽しみにしてるから、真夜らしいプレーをみせてね"


元チームメイトからの言葉だった。
文面から伝わる気持ちに思わず笑みを零した。






「それじゃ、俺行くから」

いつもの登校時間。荷物を抱えた勇陽を玄関で見送る。
思えばこうして勇陽を見送るなんて事は初めてだなと感慨深げな気持ちを感じながら、広い背中を眺める。

「お前いつ帰ってくるんだっけ?」
『金曜の夜...には』
「まあお前のことだから土曜の朝だろ」
『曖昧なんだもん、向こうが』
「ハイハイ。......ま、夜遅くなるんだったら連絡しろよ」
『はーい』

勇陽が出て行って、ゆっくり準備を始める。
昨日はいつの間にか寝ちゃってたから、今日の早朝に数本の電話が掛かってきていた。






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「朝早くにすいません」
『いえ、昨日はちょっと出られなかったので』
「...合宿の件ですが、今回の東北からの参加メンバーは宮城が2人のみですので、こちらのコーチが迎えに行くことになりました」
『...宮城が、2人?』
「ええ。あなたもよくご存知の方です」

そう優しい声で言った橘さんはつくづく侮れない人だと思う。

すぐに思い浮かんだのは、かつての相棒の顔。
飛雄のように千変万化のトスを上げて、徹のようにスパイカーが打ち易い最高のトスを上げる屈指のセッター。

『.....わかりました』
「そういうことですので、本日の昼12時に青葉城西高校の正門前にてお待ちください」
『わかりました』



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橘さんは温厚な人だから良かったけど、中学時代の熱血漢なコーチ陣達からの電話だったらうんざりするくらいの長電話だったんだろうなと苦笑しながら、携帯をベッドに放った。

青城までは大して時間はかからないから11時前に出れば大丈夫だろう。そう思ってのんびり準備を続けた。









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