Shine blast

□再会と勝利
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『何言ってんの?』
「俺がトス上げるから、打ってくれ」
『いやもう部活終わったし...片付けて外出なきゃだから』
「...いいんじゃないか?」
『え』

離れていたはずの澤村さんが、そんな事を言った。

「明日は練習試合なんだし、疾瀬が良いなら...3対3でもするか!」

澤村さんの横では、菅原さんや田中さんが頷いている。

「一度疾瀬のプレー見てみたかったんだよなー」
「俺もッス!」

うんうんと頷く2人。
リズム良く進んで行く展開に一人だけついていけずに硬直していると、傍まで歩み寄った飛雄が顔を覗き込んできた。

「やるか?」

澤村さんの言葉に、飛雄を見上げると大きく頷いている。

...まぁ、合宿もあるし。調整のつもりでやってみよう。

『やります』




相手は澤村さん、菅原さん、田中さん。
こっちはあたし、飛雄、月島。

「...なんで僕も」
『いいじゃん、明日の為になるって』
「...ハァ」

溜息を吐く月島くんの背中を叩いて色々言い合っていると、澤村さんのサーブが来た。
レシーブが嫌いだって言う月島くんに上げさせて、ボールは飛雄の方に。

一瞬だけ目が合う。...考えてることは同じかな。
コートから視線を外すと、日向くんがこっちを見ていた。期待してくれてるんだって解る、輝いた目に嬉しくなって、助走を始める足が軽く感じる。

....よし、やってみよう。

目の前には澤村さんと田中さんが居る。
飛雄のトスが上がる瞬間にそれを振り切って、高く上がったトスに右手が触れる。
視界の隅で、澤村さん達が驚いてるのが見える。

この感覚、久々。
思い切り腕を振り下ろすと、ボールはストレートでコースに突き刺さった。



「.....す、っげえ」

着地して直ぐ、聴こえた声に振り返る。
日向くんが目を輝かせて、心底嬉しそうにしている姿に、"バレーって楽しい"と、そう思えた。





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