小説(長編)

□1.泉田さん大変です!
2ページ/2ページ

会社帰りによる訳ではないので、さっきと違う道を通って近道をする。

「………クゥン!クゥン!」

「ウォォオオオオン!!」

近くから声がする。

動物の鳴き声だ。

「(…なにかあった?)」

声のした方に行ってみると、二匹の動物がダンボールを囲んでいる。

一体何があるのかと近づいてみると…

ギッ!!

びくッ!

睨まれた!黒柴と狼に睨まれた!

しかも狼こぇぇ

「あ…」

ダンボールの中にいたのは呼吸が荒く苦しそうにしている猫。

「(これやばい!)」

急いでダンボールを取ろうとすると…

「いったぁ……」

黒柴に噛まれた。

でもそんなこと言ってる場合じゃない。

黒柴の脇を掴んでライオン・キング状態からダンボールの中に入れる。

ウォォオオオオン!!

「お前もこいやゴルァ!」

「「キャイィイイン!」」

そんなに怖い!?

猛ダッシュで泉田さんの所に行く。

「泉田さん大変です!」

「何があったのその腕ぇ!?」

「子猫がぁ!死にそうなんです!」

「!」

すぐに反応した泉田さんは急いで子猫を置くに連れて行く。

下がペットショップと動物病院で本当に良かった。

「クゥゥン…」

まだ泣くかお前。

「大丈夫大丈夫!きっと助かるよ」

なでこなでこ

ボンッ

「え?」

「むっ!」

撫でていた筈の黒柴が突然男の子に変わった。

「隼人君と同じ?」

「そうっぽいね」

!?

「泉田さん子猫は!?」

「ダイジョブそう。冷えによる風邪だね。薬飲ませればすぐ良くなるよ」

よかったぁ…

「それにしても、この子達飼うの?」

………

「どうしましょ」

「動物好きなんだし飼えば?」

「隼人!そんな投げやりな…」

「だって俺、近くに友達居ないし…」

立った耳がしゅんと下を向く。

「………引っ掻いておいて大変自分勝手なのだが…」

「猫が治るまでだけでもいいから置いてくれないか?」

「………いいえ…」

やはりか…っなんて言ってたけど

「この三匹は私が責任をも飼わせていただきます」

「!」

「やった!」

まだ心配だけど、頑張ろう。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ