the dayと勝手にコラボ
□引かれていき、落ちていく…あなたという存在に…
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あれは三歳か四歳の頃…
私は夜トイレに行きたくなり目を覚ました
一人で行くのは恐いし、まだ一人で全部できる自信はない
だからといって祖父の介護に疲れた両親や祖母を起こすのは幼いながらも悪い気がした
しかしこのままではもらしてしまう
それはそれで迷惑かかる
たまにおねしょしているから同じにするか…
母や祖母や使用人たちが私に黙っても責めもせず、後始末をしているのが、子ども心にありがたいが申し訳ない気持ちになっていた
どうしたら…我慢が限界に達した時…
「クリフト…どうしたのかい?」
祖母だ…
「おばあさま…おしっこ…」
もじもじしながら伝えると祖母は優しくトイレに連れていってくれた
目がさえてしまった私を見ながら祖母は
「今夜は満月だからお月さまを眺めてみるかい」
雲一つない満月
「うわぁ…」
テンションが上がった
「おばあさま、どうして月は浮いているの?」
素直に質問をしたら祖母は
「…月は浮いているのじゃないよ…大地にひかれていて…近づきたいけど近づけないのさ…」
祖母は学者の家系に生まれ祖母も学者だった
後世に名を残すほどではないが、知識の量や学問に対する勤勉さはすさまじく私の勤勉さは祖母似だろうと後にブライ様に言われた
「どうして?」
「…大地は実は丸い…ということがわかったんだよ…」
「え?丸くないよ!!」
「クリフトにはまだ難しいだろうけどね…」
祖母は言葉を選びながら私に説明した
やはり子どもには難しく話の大半はわからなかったが、大地は丸く月は大地に近づきたいけど近づけないから周りをぐるぐる回る
ということは何となく理解した
そして月日が流れ…
私は今…あの夜のような満月を眺めていた
「…月と大地か…まるで…今の…私と彼女だな…近づきたいけど近づけない…」
いつのまにか月と大地の関係に愛しいあの御方と自分との関係を重ね合わせながら見ていたのだった