the dayと勝手にコラボ

□さよなら
1ページ/6ページ

わかっていた

こんな日がくることは…

そう思いながらも彼女…シンシアは泣いていた…

愛しい彼の手を握りしめながら

「ソロ…」

「…なくな…」

シンシアが握りしめていたソロの手はシワだらけだ
声もかすれていてかすかに聞こえる程度

彼が伝説の勇者として世界を救い、そして二年後の世界の危機に立ち向かってから八十年…

彼は百歳を過ぎていた

今度玄孫に子どもが生まれる

シンシアもある程度加齢はしたが、それでも人間でいうところの三十代くらい

はためからは祖父の介護をする孫にしか見えない

ソロは天空人とのハーフだからか普通の人間よりは長生きだったし加齢のスピードは遅かった

それでもエルフの血を引くシンシアとの見た目年齢は解離していった

生まれた時はおばと甥
少しして姉と弟
年の近い恋人同士
妹と兄
娘と父

そして…ソロが老衰で命を終えようとしている今は…孫と祖父

見た目が変化しても変わらないもの…

「…くるの…まってるから…それまで…おもいでで…いきていけるよう…」

ソロの一途なまでのシンシアへの愛情

「わかった…わかったから…約束通り…天空の剣は…墓標に…」

シンシアの中にあるソロへの愛情

かねてよりソロはシンシアに自分が死んだら天空の剣を墓標にと頼んでいたのだ

シンシアの台詞を聞いたソロはシワだらけの顔で動かなくなりつつある筋肉を精一杯動かし笑顔を作り

「たのんだ…」

そういった直後に彼は動かなくなった
硬直し止まった心臓…

大往生の瞬間だった…

ソロは笑顔のままだった

シンシアはソロの安らかな顔を見ながら

「うっ…うっ…」

エルフが流せるというルビーの涙を流していたことにシンシア本人は気づいていなかった
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ