頂き物、捧げ物

□永遠の明日(明日を夢見てクリフトside)
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弱音を吐きたくなるような毎日に、逃げ込む場所を探して閉じこもってしまいたくなる。
私は神の御許にて鍛錬の日々。
そして貴女はあの荘厳たる白亜の城で……いや、今は、今だけは考えたくはない。
日に日に輝きを増す貴女を見初める人もいるだろう、縁談だって、おそらくは引く手あまただろう、だなんて。

夢で逢いましょう、だなんて綺麗事でしかない。
夢が覚めれば貴女はここにはいないという現実が押し寄せるだけ。

いっそさらってどこか遠くへ、何物にも縛られることのないどこかへ
行ってしまえたとしたならば、今頃私たちはただただ笑えていたのだろうか。
こんなに苦しむこともなく、ただ2人空を翔る鳥のように。

安息日が近づく。すべての手をとめ、神に祈り、己の心と向かい合うべき日。
ありとあらゆる音が静まり返る中、私は思考の深淵に、ただ独り。

祈りに心を研ぎ澄ませていけば、思い浮かぶのは貴女の、微笑み。
真っ白で穢れのない、生まれたての笑顔でいつも私をまっすぐに見つめてくれていた。

不意にわきあがった思い。『ひとりじゃない、孤独じゃない』。
世界が色づいていくように、私の中で光が息づいていく。
変わりたいのに変われない、いつまでも同じ場所で留まる自分が嫌だった。
だけど、貴女はありのままの私を受け入れてくれた。
ああ、と息がもれる。どうして見えなくなっていたんだろう。貴女こそが、私の帰る場所だということを。

どれだけ距離があっても、私たちは互いを思いやりながら生きているということを。

久しく忘れていた笑みが、自然にこぼれるのがわかる。
次に逢えるときは、ラナンキュラスの花束を携えて帰ろう。
光輝の花言葉にふさわしい貴女へ。私をいつだって魅了してやまない貴女へ。

私はまだまだ弱いけど、貴女と紡ぐ明日を、絆を、永遠に守っていきたいから。
強くなります。必ず。……だから、待っていてくださいね、愛しい姫様……。

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