誠の武士とかつおぶし。~福猫見聞録~

□第四話
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某は新選組の屯所という場所にやって来た。

『…そうじ≠ニやらめ…、覚えておけ…!』

そして前足と後ろ足を縛られていた。
キツすぎるわけではないが緩くもない。起き上がれないのでべったりと畳の上で横になっていた。

屯所に着いた彼らは千鶴を空部屋に連れて行った。
某を捕まえようとする茶髪と白襟巻きの腕をかいくぐり千鶴の傍に行く事に成功し、それを見て茶髪と白襟巻きは某を放っておく事にしたらしく捕まえようとしなくなった。
因みに、男達の会話を元にすると、
白襟巻きはさいとう はじめ=B
茶髪は名字はわからずそうじ=B
美丈夫と言っていたが眉間に皺がよっていない状態を見ないし某を追い払う時なんて鬼のようで髪も女みたいに長いから般若と呼ぶことにした男はひじかた≠轤オい。
まだ気を失っている千鶴の横に座っていると、そうじとさいとうが手に縄を持ってやって来た。
そしてそうじが千鶴を縛り始めた。その縛り方はかなりキツい。
千鶴は男装しているが女子なので跡がついては大変だ。
某はそうじを睨んで鳴いたりうろうろしていた。
それを見てさいとうが某を捕まえようとしてきたため威嚇しながら避けたがさいとうの表情がしゅんとした気がするのは気のせいであろう。
そのままそうじの着物に爪を引っ掛けてやろうかと思ったがやめた。
縛る手を止めてこちらを見たそうじは笑顔で無言だったが、
これ以上やったら刀でぶった斬るぞ?わかってんだろうな?
って言われた気がしたのだ。
不満ながら、千鶴を縛り終わるまでの間そうじを睨みながら待ちつつさいとうを見た。
きっと、さいとうが此処にいるのはそうじが千鶴に何かしないように監視するためなのかもしれない。
…この作業はさいとうだけで事足りるのではないだろうか。
さいとうと目が合い、すぐ逸らした。
なんとなく、某はさいとうに苦手意識があるらしかった。
さいとうの目は何かを見透かしているような気がしてならない。
縄を縛り終り、そうじが立ち上がる。
さいとうも立ち上がって襖を開けると二人は部屋の外に出た。
…と思って油断してしまった某が憎い。

「つーかまえたっ…と!」

なぜかそうじに捕まった。
すぐに襖の近くに行かなければ良かった。
外の様子を伺おうと襖に近づいた瞬間、襖が開いて目の前にはしゃがんでいるそうじ。
そして、

「これで良し…と。」

何が良しだ。
嫌がる某の四肢を縛り上げて何が良いのだ。
動けない某を千鶴が横になっている布団の隣の畳の上に転がしたあと、頭をぽんぽん軽く叩いて部屋を出て行ったそうじは某の中の危険人物最上位である。

一晩中、寝返りがうてないのは正直な所かなり辛い。
そこは千鶴も同じはずなのだが彼女はぐっすりと眠っていて、少し羨ましいというか…よく起きないな。
某もゆっくり日向ぼっこがしたい…。

「…あ。」

目を覚ました千鶴と目が合う。
もう少し違う再会の仕方が良かったなぁ。
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