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□黒麒の番人
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『――怖かったかの?』
ロロの言葉が、クォルファの脳裏に甦る。
今でもその言葉を思い出す度にビクッと肩が震えてしまう。
一体いつまでこんな風に怯え続けていくのだろう。
一生だろうな、などとクォルファは思う。
地の魔法を使い呪われたこの体、決して許されるはずはない。
ふと自室の窓から見下ろすと、そこには錆色の髪を持つ少年と、エルフの少年、獣魔使いの少女が楽しそうに何か喋っているのが見えた。
その和やかな風景に、クォルファは自然と笑みがこぼれた。
「お前のそんな笑顔を見るのは久しぶりじゃ」
「!!」
ドアに目を向けるとそこには小さな姿があった。
ロロ・ポーレル。クォルファの先生であり、召喚術師でもある老人だ。
「わしが入ってくるのに気付かんとはキミらしくないのう」
「先生…」
「どうせまたその呪いの事を考えていたんじゃろう?」
「…っ!それは……っ」
「違うか?」
「…………いえ」
ロロは軽くため息をつく。
「全く、キミは気負いすぎじゃ。それではいつか耐えきれなくなってしまうわい。……黒麒を綬かるのはそんなにも辛い事じゃったかの?」
「…………」
クォルファは答えない。