A

□月の光
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ずっと望んでた。

魔術の部にいきたいと。

ずっと悔しかった。

魔法が使えない事が。

ずっと――……



『ようこそ、魔術の部へ』



ありがとう神様。

オレの望みを叶えてくれて、本当にありがとう。

でも、もう少しだけ、わがまま言っても許してくれる?

会いたい、人がいるんだ。

会って、伝えたい事があるんだ。

あの、


あの『白い人』に、会いたい――……




「クォルファ先生!」


たまたま廊下で見かけた、ルーウィンにとっては馴染みの教師の名を呼ぶ。


「ランディットか、どうした?」

「ちょっと聞きたい事があるんだけど…」

「……?」


クォルファは首を傾げる。


「綬色ってあるじゃん?先生でいう黒麒とか。それが与えられてる先生って13人いるんだよね」

「ん…、ああ。それがどうかしたのか?」

「その中にさ、白い人いないかな?」

「……!!」


クォルファは驚いて目をみはる。


「縁取りの袖の服着てて、碧色の瞳をしてて、だけど月の光みたいに真っ白い人なんだ」

「…………知らんな」

「そっか」


ルーウィンは見て分かるほど落胆した。


「じゃあオレもう行くね」


そう言って、ルーウィンは走ってその場を後にした。


「全く……ι廊下を走るなと何度言えば分かるんだ」
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