□さよならなんていらないね
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読者に没頭する空目を想二はぼんやりと見つめていた。

男にしては長く艶やかな黒髪に透き通るような白い肌。

整った顔立ち。

細められた双眸から伸びる睫は長い。

そして、少し力を込めれば折れてしまいそうな細い体。

我が兄ながら、本当に男にしておくには勿体ない綺麗さだと思う。

というか、もし彼が女で兄ではなければ、多分告白している。玉砕は目に見えているけれど。



「何だ?」

「え?」


突然、本から視線を離し、こちらを見つめ返され、正直戸惑った。

邪な考えすら全て見抜かれそうなその視線は正直苦手だ。


「ずっと見ていただろう。気が散って本に集中出来ない。用があるならさっさと言え」

「あ、えーと……」


用なんてない。

ただ見とれていただけなんて言えばこの兄はどんな顔をするのだろう。



「あのさ、兄さん……」

「何だ」

「僕たち、ずっと一緒だよね」


怪訝そうに目を細められ、少し怖くなった。が、


「当たり前だ」


ぽんっと頭に手を添えられて、それが頭を撫でられているのだという事に気付いた瞬間、自然と笑みがこぼれていた。




兄さん、僕は兄弟という関係を超えて、貴方の事を好きになってもいいですか――……?



〜END〜



成長すればこんなにも純な子になれるのに、そうじさまバージョンの時は何故鬼畜にしかならないのか…ι(してるのはお前だ)
愛果様、リクエストありがとうございました!
 

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