桜駅文庫(戯曲)

□時を還した銀座線
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時を還(かえ)した銀座線〜貴女をずっと愛してる〜
作者 中浜島 優

夏川 隆也(りゅうや)
鶴川大学医学部教授、心臓外科医。45年前にタイムスリップし、若い頃の姫誉に出会う。45年前は研修医。
白河 姫誉(ひめよ)
銀座線上野駅の出札係。後に隆也の妻となった。去年心臓病で逝去。
夏川 愛美
隆也、姫誉の娘。看護師。
山吹
銀座線の化身。隆也を45年前に戻した張本人。

 照明)暗
舞台中央、ベンチが置いてある。上手側に愛美が立っている。愛美に単サス。

愛美)みなさんは、大切な人っていますか?それは、誰ですか?家族?友達?それとも、恋人?・・・答えは人それぞれですよね。今から、私の父の話をします。みなさんも考えてみてください。大切な人のことを。

 単サス消える。愛美、上手にはける。陽明。(照明は薄暗めに)隆也、ベンチに座っている。
 場面)銀座線上野駅ホーム
 音響)地下鉄の音。

隆也)・・・(寝ている)

 愛美、上手より登場。最初と同じ位置に立つ。

愛美)この日、父は大学での講義を終え、銀座線の上野駅にいました。父は、とても疲れていて、ベンチに座るとすぐに寝てしまいました。

 愛美、上手にはける。姫誉、上手より登場。寝ている隆也を起こす。

隆也)ん・・・わっ、まずい、寝てしまった!!
姫誉)あ、目が覚めましたか。おはようございます。
隆也)あ、あなたは・・・?
姫誉)そんな驚いた顔しないでください。私は幽霊なんかじゃありませんよ。もう終電は終わりましたんで・・・
隆也)もうそんな時間なんですか!?寝過ぎてしまった・・・
姫誉)おもしろい方ですね。
隆也)まったく・・・もう年だというのに・・・
姫誉)え?あの・・・今おいくつなんですか?
隆也)あ、えー・・・っと70ですが・・・
姫誉)ちょっと、冗談は止してくださいよ。どう見ても、20代後半ぐらいにしか見えませんよ。
隆也)え?・・・(周りを見回す)あれ?すみませんけど、今、何年ですか?
姫誉)今ですか?1951年ですけど・・・。
隆也)1951年!?
姫誉)何か?
隆也)45年前に・・・戻ってきた・・・
姫誉)不思議な方ですね。家はどちらなんですか?
隆也)浅草ですけど・・・
姫誉)この電車の終点ですね。私もなんですよ。あ、じゃあ、一緒に帰りませんか?私もう仕事終わるんで。ひとりは嫌だったんですよ。
隆也)はい、いいですよ。
姫誉)じゃあ、待っててください。すぐ用意するんで。

 姫誉、下手にはける。
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