□理由づけ
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肩に抱きついては体を押し付けて、
うすらに笑うといつも私の頬に、
唇を押し付けた。
私の我慢を崩そうとする、いい加減、
限界が越えてしまう事は、
卿はわからぬのだろうか。
理由づけ
珍しく来ないと思えば、
半兵衛は自室で眠っていた。
畳の上にごろ寝して、
すやすやと小さく寝息をたてていた。
(布団も敷かずに眠って…)
はぁ、と溜め息をつく。
着物の袷が乱れ、鎖骨が露になっていた。
よく見れば肌はしっとりとし、
少し赤らんでいる。
何を思ったか私は彼の頬を撫で、
その鎖骨の窪みに指を這わせる。
肩を震わせ、顔を歪ませながら唸った。
(確か、ここは弱いと言っていたな)
手を離し、後ろに組む。
これより先は駄目だ、そうは思うが隣に眠る愛らしい顔に欲は募るばかりで。
(…、卿が悪い、私ではない)
半に開いた朱の唇に、噛みつくように口付けた。
「ん、ぅ…、んんっ」
舌を入れた時に気づいたか、
半兵衛は驚いたように顔を退けた。
僅かに口の端から唾液が流れ、
それを拭いながら真ん丸に開かれた猫目は、不思議そうに官兵衛を見る。
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