Story

□Call my name, hold my body
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どれだけセックスをしても、熱を持つ体の中は冷えていくばかりで
どれだけ愛してると言っても、噛み合わない気持ちはガタガタになるばかり―――――

《Call my name, hold my body》

ぐちゅぐちゅと異様な水音が、二人の間から漏れて。
「っあァ……!クロ…ちゃ…ッッ」
「ラビ……良いんであるか…?」
「ィっ……い…!っあ、イきっ、そ…さ……」
「ッ…もう少し、我慢するである」
「ッふぁ…もォ……!!っっあ…」
クロちゃんのペニスが俺の中を嬲り続け。
「ラビ…もう、すぐっ…」
「んん…っア…はゥン!」
果てには、お互いにお互いの白濁に塗れ合って。
「ッああァ……ァ…ぁ……!………」
「っは……」
又、明日に飲み込まれる。

「ってェ……」
「だ、大丈夫であるか?」
「あー軋んでるだけさ、ヘーキ」
シーツを変えているクロちゃんの後ろ、机の上のグラスに水を注ぐ。
それを一気に煽って、変えられたばかりのシーツにダイブした。
「ラビ」
クロちゃんが苦笑して、シャワールームに向かう。
俺は中の精液を流すために先に入ったけれど、クロちゃんはまだ汚れたシーツで大雑把に全身を拭っただけだ。
「行ってらっさぁい」
寝そべったままおざなりに手を振ると、シャワールームのドアから半分だけ体を戻して、彼も手を振り返した。
ぱたん、とクロちゃんを飲み込んで扉が閉じ、シャァア、と水が流れ弾け落ちる音。
「………」
オレはシーツに眼帯の無い顔の左側を押し付け、目を閉じる。
――……真っ暗
聞こえるのは、自分の鼓動とくぐもった水の音。
感じるのは、火照る身体と、すべらかなシーツ。未だ軽く開いた後口。濡れた赤毛。
思い出すのは、
――無意味な事を。
そう吐き捨てたジジイの顔。
――ブックマンの後継者に成ろうという者が、
「…ヒトと情を交わすとは…」
もう、両手では追い付かない数になった擬似生殖行動。
「わかってるさ」
こんなセックス、何の意味も持たない。
時が来れば俺は居なくなる。『ラビ』も消えていく。
クロちゃんとの関係もおしまい。只の記録、只の過ち。
むしろ、オレがブックマンになった時には邪魔なもの。
だから
「本気にはなンねぇさ」
性欲を発散するためだ、若いが故の行き場の無い生理的な澱を。
――忘れるな。お前はブックマンの後継者。
――冷静公平なる裏歴史の記録者。
――感情も、私欲も捨てろ。
――そして、全てを…

「記録しろ」



「ラビ?」
目を開くと、クロちゃんが頭を拭きながらオレを覗き込んでいた。
「出たンさ?」
ああ、と彼が俺が大の字に寝ているベッドに腰掛ける。
オレがスペースを空けると、クロちゃんはそこに横たわった。
「体は…その……」
「……大丈夫だって、オレ、若いし★」
激しい情交の事後を気にする彼に、ニッコリ返してやる。彼はセットの崩れた前髪から垣間見える細面に、柔らかい笑みを滲ませた。
「ラビ……愛しているである」
濡れたオレの髪に大きな手が被さり、イイコイイコしてくれる。
「オレも…クロちゃんのコト愛してるさ…」
いつもの会話。クロちゃんはエリアーデを壊した後に、愛していると一度も言えなかったせいで凄く後悔したらしい。
だから、ラビには沢山言うである
二回目のセックスの時、彼はそう言ってオレにキスを落とした。
可愛くて残酷。
クロちゃんだって俺がいつか居なくなる事を知っていて、その上でセックスしてる筈なのに。
オレがホントの意味で愛してるなんて言えないと分かってる筈なのに。
「もう少ししたら、戻ろ」
「ああ」
耐え切れなくて、ぎゅぅと目をつむる。まだ彼の手は俺の頭を撫でている。
――記憶じゃない、記録。
そうする事が生業だから。
こんな温かい時間など。

今すぐ記録に変えてしまえば良い。

To be continued...


後書

うん、初っ端エロですみません
エロ大好き(爆)
悩むラビが切なくて、クロちゃんは愛してると繰り返し囁くのです


up2007/3/13

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