Story

□薔薇花葬−ショウビカソウ−
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貴女に……
届けば好い……

  薔薇花葬
ショウビカソウ

12/12
花を買いに外出する。
薔薇を12本。真紅のもの。金のリボンを掛けていただく。
こちらには、こういう習慣は無いらしく、誰も花を持ち歩いてはいなかった。
橋の上から、彼女に贈った。

…………………

風が、少し強く吹き上げていた。
橋の下の水は思ったよりも清く、川下に向かいさらさらと流れて行く。
私は薔薇を一輪花束から抜くと、ぐ、とその開いた花弁を握り潰した。
茎からもぎ取り、ある程度ほぐれた処で橋の下に届くよう手を開く。
―――はら
――――――はら
―はら
花弁が宙を舞う。いくらかは風で舞い上がり、私の下へと返って来た。
構わずに、繰り返す。
12本全てを送り終わった時、ふと頬を優しい風が撫でる。
「     ――――?」
思わず名を呟いてしまい、口を押さえた。
橋の向こうには紅(あか)の浮かぶ水面(みなも)。
川の流れに因って、花びらは何時か海へと届く筈だ。
そうすれば、きっと彼女にも、一枚くらいは届くかもしれない。
「     ――――」
もう一度、名を呼んでからくるりと回れ右した。橋の近くの影では、私を付けて来た赤毛の少年が本部と繋がっているだろうゴーレムと喧嘩をしている。

―――帰る場所が有るのだ。

そっと風を想った。

fin

12/12
ダズンローズディ
恋人に愛や感謝を込め12本の薔薇を贈る日


後書

見た瞬間思い付いたネタでした。
ってか本編(もう片方のやつ)が終わらずに仕方なく短編にしたのがこちら。
時間が無かったのがバレバレだwww


write2006/12/12
up2007/3/12
 

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