Story]

□なっしん★めでぃしん
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麗らかな麗らかな、ちょうちょとお花の午後一時。教団の一室にてぽこりと繭のように膨れ上がった寝台が、不意に音を起てて軋んだ。
「……暑い」
ぽふんと腹まで布団を跳ね退け、繭から現れたラビがうあぁ、と大きく伸びをする。なんと背中を反らし手を突き上げたまま、おまけに欠伸まで披露した。
窓から降り注ぐ陽光はそれをはっきりと見せてくれていたが、当人全く関係ないらしい。それもその筈、服装もパンツに団服のインナーという有様。
今更取り繕う意味などない訳で、ずぼら丸出しで、今度は下まで足で布団を押しやった。そしてそのまま寝ぼけまなこを二、三度擦ると、横に丸まっているクロウリーの頭を自分の胸元に抱き寄せる。
クロウリー自身は今だにふわふわ夢の中、何がそんなに楽しいのか、笑みまで浮かべて健やかだ。
ラビはそれをちらちら自分の腕越しに覗きながら、よしよしと誉める仕種でクロウリーを愛でていた。普段と違い纏まりのないツートンの髪はすべすべと気持ち良く指に遊ぶ。へにゃり、ラビの表情は更に崩れてもう止まらない。
「いやー、クロちゃんのベッドは広くて良いさぁー」
二人でラブラブ出来まくりー。くすくすと笑うその声はすっかり緩みきり間延びしていて、やっぱり時刻が昼を回っていることなど気にする兆候もない。それどころか、どうやらすっかり寝直す気らしい、ぼさぼさのオレンジに緑が細くなり消える。
窓からの光は目覚まし役の努力虚しく、熱をお布団扱いされた。
しばらく。
日もそろそろ斜めになって、おやつが甘く薫る頃、ぐう、と上から寝息が聞こえたか。
「……ぅ……ん?……寒ぃ」
今度はクロウリーがごそごそと体を動かした。
んぅ、ぬぅ、とへんちくりんな音を発しつつ、どうやらまだ頭は半分ワンダーランドに置き去りの模様。
捜し物のあったかお布団は、ラビの強烈キックに足元を通り越し床にばさりと広がっていた。が、クロウリーはそれに気付く様子はなく、諦めた様に体を丸めてすぐ側にあった人熱カイロに抱き着いていく。
具合はちょうど良いようだ。もぞついていたクロウリーは動きを止めて、ラビより酷く、目覚めることなくねんねにリターンしていった。
「……ん…………」
「くかー……」
ちちち、と青空に囀りが響く。
互いに互いを抱えたままで、どんな夢をご覧になってらっしゃるのやら。
ふふふ、と二人の眠り笑いが重なった。





「……で?」
「らから、っクシュ、寝ぃえ、しらんップしゅっ、ら……くちュン!と、思うれあるー」
「はぁ」
アレンは呆れ顔を隠しもせずに気のない相槌を打った。鼻水を垂らしながらのクロウリーの力説は余り功を奏しなかったらしい。
それもそうだ、風邪の原因が一昼夜寝過ぎて寝冷えだなんて、馬鹿らしくて誰が同情できるだろう。
「ぅ゙あー、うロちゃ、てッシュちょうらいー」
しかもカップルでなどふざけるにも程がある。
くしゅんぶヘックシュ、鼻水とウィルスの蔓延する二人用の病室で、はぁ、とアレンは深く溜息を吐いて、投げやりにお大事に、と言い残すとさっさと席を立った。そのまま、任務に呼ばれた室長室まで足を向ける。
部屋に入ったら、とアレンはげんなり考える。
一応コムイさんに聞いてみよう。


「バカップルに付ける薬、ありませんか?」

fin


後書き

^^^^^^^^^^^ラブラブ止めれ。
ベッドネタを久しぶりにー。てかベッド、遂に一昼夜越えちゃったwww仕事しろよエクソシストー(笑)
書こうと思ってたネタから違ってしまったので、もう一つベッドネタ書きますかねぃ。


write2010/4/6
up2010/4/6

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