Story U

□愛するが故に君を捐す
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イイコだね

イイコだ

そう

俺だけを見て

俺だけに愛を語れ ?

《愛するが故に君を捐す》

「あい、あいしているで、ある、てぃき」
「イイコ」
「あ、あいし、て」
「うん」
「あいしてる、てぃき、あい、して、い る」
熱烈に、強烈に、俺にもっと愛を囁いて。
その千切れた腕で、そのもがれた脚で。
俺だけに囁いて。
この部屋はあんただけの場所。特別だぜ?あんただけだ。
首輪で腐りかけた首も。狂った頭も。
全部全部愛してるよ。
「お前はどう?」
「あいしているである、あいして、いる、てぃき、あ、いしている」
「うん」
「てぃき、あいしてる、てぃき、てぃき、あいしている、あいしているである」
嬉しいデス。
なぁ、もっと言ってよ。
どうせそれしかもう言えないんだから。
喉が裂けて駄目になるまで。
舌が腐れて融け落ちるまで。
その空っぽの眼窩で俺を見て、その削がれた耳朶で俺を聞いて、俺だけを考えて、俺だけに縋り付いて。
「あいしているである、あいしているである、てぃき、てぃき、あいしている、てぃき、あいしているである」
「でも」
いい加減ウザい。
拳固で一発、あいつは壁に吹っ飛んだ。
なぁ、ティキって呼べよ。
俺を見て、俺の声を聞いて、俺と認めて、照れながら触れて、そして聞こえないくらいの声で「好きである」って呟けよ。
「あいしている、あいしているである、てぃき、てぃき、てぃき」
口の端から血を流して喋り続ける。
ああ、そう躾けたのは俺でした。
ごめんな、と近寄りそっと汚れて引き攣った頬を撫でてやる。
「てぃき、あいしている、あいしているである、あいしている、てぃき、てぃき、あいしているである」
「俺も愛してるよ」
「てぃき、てぃき、あいしている、てぃきあいしているである、てぃき」
「イイコだ」
壊れて狂った頭を撫でてやる。
イカれてるけど愛してるよ。
愛してる。
「もっと言って」
俺だけに。

俺を拒否するから鎖を付けた。
俺だけ想うように閉じ込めた。
俺以外に触れる腕は千切ったよ。
俺から逃げる脚はもいでやった。
俺以外を探す目は潰してしまった。
俺の声を望まない耳は削ぎ取った。
それでも俺を嫌だと言うから。
それでも俺に縋らないから。
だから壊した。狂わせた。
だって俺だけで良いだろう?
俺じゃ駄目なら何でも同じだ。

「あいしている、てぃき、あいしているである、てぃき、てぃき」
「俺も愛してるよ、アレイスター」
愛しい、愛しい、捐った躰躯を抱きしめた。

fin


後書き

捐る=へる

狂愛です(*´Д`)ハァハァ
狂愛大好きです、すいませんイタイ子で。
ティキは愛を信じられない子だという認識が固まりつつあります。
ていうかウチの子達はクロちゃん以外全員そうと言う(爆)
と、ともかくまぁこのくらい愛されちゃえYO!って事デスはい。


write2007/3/20
up2007/3/20

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