Story U

□空の青。
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「っっっっあぁぁああぁあぁぁああぁぁぁああぁあ!!!!!!!!!!!」

そうきゅうのそら

たなびくうすぐも

おれははきさけぶ

「ぁああぁあぁぁああぁ……!!!!!!」

からになれおれ

そしてきおくしろ



「ラビ?」
「…ん?」
「何を、叫んでいたのであるか?」
宿から少し離れた森、その中の外れ、街を見下ろす崖の先。
そこに突っ立ったラビの背中にクロウリーは声をかけた。
そっと仲間を離れた彼を追って来てみれば、聞こえた絶叫。
それは真っ直ぐ立ったまま彼が放つ咆哮であった。
「ああ、シュギョーさ」
「修行…?」
参ったさ…と恥ずかしそうに頭を掻きながらラビは振り返った。
見えたのはへにゃ、とした幼児の様な不安顔、長いマント、独特の髪型のクロウリー。
一番見られたくない人物だった。
「ん、吐き出してんの」
こっち来るさ、と手招きして、並んで地べたに座る。
元々がお坊ちゃん気質のクロウリーは、幾度目かにも関わらず少し躊躇って座った。
胡座を掻いたラビの隣、正座のクロウリー。
風は柔らかく、陽はゆっくりと温もりを分け与えてくれる。
しばしの沈黙を置き、クロウリーが空を見上げる顔をラビに反した。
「何を吐き出していたんであるか」
あ、言いにくいなら良いである、済まない。
ぽつりと質問したすぐ後に、謝ってしまうクロウリー。
ラビは目をぱちくりさせ、そして吹き出した。
かっわいいさぁ。
当のクロウリーは、え、と顔を赤くしている。
一笑いして、ラビはん、と背伸びした。
「そうさね〜…聞きたい?」
に、と笑い腕を上に伸ばしたまま聞く。
クロウリーはしばしの逡巡の後、う、うむと曖昧に肯定した。
それを横目で確認して、ラビは地面にぱふりと倒れる。
後でジジイにばれたら…まぁ良っか。
クロウリーはそんな事はしないと思い直し、ラビは口を開いた。
「記憶、を捨ててるんさ」
「え」
居住まいを体育座りに直してラビを見ていたクロウリーが、又へにょり、と不安顔になった。
不安と、淋しさと、疑問と、好奇心とが入り交じったような。
全てを分かっていてしているような。
まるで分からずにしているような。
クロウリーだけの複雑な表情。
ラビはその顔が大好きだった。
「オレは、ブックマンになるっしょ?」
うむ、とクロウリーが頷く。
「今はまだ修行中だけど、一人前になったら沢山の事を『記録』しなくちゃなんねぇんさ」
「そうであるな」
「でもオレ、まだまだ未熟でさ?
…記録とおんなし位記憶しちまうんさぁー…」
へへ、と笑うラビにクロウリーがあの複雑な表情から悲しげな顔に変わった。
あ、やだな
「良くは分からないが…いけないんであるか?」
「頭の容量が減っちまうっしょ」
「ブックマンから言われて…?」
「んや、自分で始めた」
クロウリーはしゅん、と俯き黙り込む。
ラビは苦笑して起き上がった。
「大丈夫、クロちゃん達がオレの分も記憶してくれれば良いんさ」
な、とラビは笑いながら言う。
業を受け入れた強い笑み。
クロウリーは潤んでしまいそうな目を向けて、その笑みを見た。
カッコイイである。
今時の少年に見えるラビの、ほんの時珠に見せる芯の強さが、クロウリーには酷く美しく見えた。
例えそれが痛々しい胸の記憶を揺り起こしそうになるものだとしても。
「…うむ」
風が少し冷たさを帯び、雲が影を成したが直ぐに晴れる。
クロウリーはラビの服の端を少し視界に入れたまま俯いていて、ラビはそんなクロウリーを端に見ながら空を見ていた。

fin



例えオレが全て捨てても
きっとあの顔だけは忘れない

例え彼と私の繋がりが切れても
絶対に全てを忘れまい

...end.


ラビはいつかいなくなりますからね
クロちゃんは良くも悪くも大人ですからね
はぅあ記述力文章構成力語彙力が欲しい!


2007/3/18

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