StoryV

□トワレ、きみのはだ、
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「クロウリー!」
「クロウリークロウリー!!」

「なんであるか?」


《トワレ、きみのはだ、》


「どうですか?」
アレンはワクワクと腕を開いた。
笑いそうになる口にギュッと力を入れ、困惑するクロウリーの目を覗き込む。
「ど…どう、とは…」
挙動不振になり始めるくらい待ってみて、そろそろ汗と涙が滲み始めるかな、と思ったあたりで腕を下ろした。
「…わかりませんか?」
「………す、済まない…」
しゅん、とクロウリーが肩を落とす。
可愛らしい仕草に、アレンはじゃあ、とクロウリーの団服(コート)を下に引っ張り彼の首に抱き着いた。
「ひゃっ!?」
裏返った声を出したクロウリーの耳元に、アレンはそっと口を寄せる。
「わかりますか?」
「え、え…?あ……」
「わかりましたか?」

「……トワレ、であるか?」

「正解です!」
ようやく聞こえた正解に、アレンはクロウリーを放し笑いながらポケットより小さな瓶を取り出した。
鮮やかなローズピンクのそれの中に、ちゃぽ、と少量の液体が揺れる。
「昨日任務帰りに買ってみたんです。
良い匂いじゃありませんか?これ」
小さく音を立てて栓を抜くと、辺り一帯にふわりと香しい花の香りが広がっていく。
クロウリーはそうであるな、と微笑いながら秘やかに眉尻を下げた。
何故ならそれは。その香りは。
「クロウリーの香りに似てるのを買ってみたんです」
「そうであるか…」
あの城に充満していた、花々にも似た甘い香り。
いつの間にか身体の芯から染み付いていた、過去の全てに通じる香り。
それはクロウリーの心にある深遠な部分に震いをかけるには十分過ぎるものだった。
「クロウリーと何時でも一緒の気分でいたくて。
……嫌、でしたか?」
そんな様子に、アレンは敏感に反応した。
そっと栓を戻して瓶を握りしめる。
鍛えられた手の中で、ガラスがキシリと音を立てた。
「あ、いや、…少し懐かしくなっただけである。
ただ、アレンにはまだ少し落ち着き過ぎているかもしれない」
もっと爽やかな匂いのものが良いである、と、クロウリーはアレンの拳に手を重ねる。
アレンがそっと彼を見上げると、彼は優しく優しく微笑んで、きつく握られたアレンの手から小瓶を受け取り代わりに手を繋いだ。
「…じゃあクロウリー、選んでくれますか」
アレンの顔が、一転していつもの明るい表情になった。
え、とクロウリーが状況に付いて行けずにいると、アレンは握られた手を取り無理矢理小指同士を絡め、振る。
「僕のために新しいトワレ、選んで下さい!
二人きりで…デート、です」
「デ、デート!?」
アレンはにっこりと笑い、絡めた小指にキスをした。

fin


後書き

復帰!!アレクロ需要って結構高いんですなぁ。
書きたかったエピ入れ忘れましたよ(笑)
行き当たりばったりに書きすぎるからですね…。
でもプロットとか立てられません。
くふ!
さて、リクに手を付けますぜ!


write2007/4/27
up2007/4/27

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