StoryV

□痴話喧嘩
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「クロウリーの馬鹿っ!!」
「アレンは了見が狭すぎるである」
ばん、と音を立てて食堂の机が揺れた。
上に積み重なっている皿が音を立てる。驚いて注視する教団員達の中、ぎりぎりとクロウリーを睨みながらアレンが食堂を出て行った。
残ったクロウリーはため息を一つ着き、途中だった食事を再開した。

「何ケンカしてんさ〜」
アレンが去って少し後。
皿に残っていた最後の一口をフォークで押し込んだ時に、何処で見ていたのか、親しい仲間である少年がクロウリーの向かいの席に現れた。
「アレンめっちゃ不機嫌さ。
みんなに当たってて迷惑なんだけど」
ひよひよと赤毛を揺らしてからかうラビに苦笑しながら、クロウリーは大した事では無い、と恥ずかしそうに言う。
ふぅん?とラビが笑うと、その頬は更に赤くなる。
「理由、おー、しえてっ?」
ラビがそれは楽しそうに聞くと、クロウリーは一瞬躊躇い、口を開いた。
「アレンが――――――――」


「いよっ、色男!」
「何ですかラビ、ふざけないで下さい」
部屋に入ってくるなりアレンに掛け声を浴びせた少年に、アレンは無愛想な顔で冷たく言い放った。
ありゃ、と躱されてつまらなそうな音を発した少年を無視し、アレンはベッドに倒れ込む。
その横に座り、ラビは「ケンカ、聞いたさ」と言う。
「……放っておいて下さい」
アレンは頬を膨らまし、拗ねた。
「今回はアレンが悪いと思うさぁ」
「どうしてですか」
ラビの言葉に、漸く上半身だけを起こす。ラビはそれを見てアレンの方を向くと、だって、と口を開く。
「クロちゃんに言ったんだろ、「―――――――」


教団廊下。クロウリーとミランダは連れ合ってコムイの所へと向かっていた。
エクソシストが二人、ということは新しい任務の説明だろう。
何気ない会話を交わしつつ歩いていると、ミランダがふと申し訳なさそうに口を開く。
「あの、さっきアレン君と…」
そこまで言って、あ、ごめんなさいと口を噤む。
クロウリーはその様子に苦笑して、良いんである、と優しく返した。
「ちょっと意見が食い違っただけで…」
「意見…」
ミランダが不思議そうに首を捻る。
クロウリーが少しだけ頬を朱に染めた。
「……アレンが…その、私が……。

私が世界で一番可愛いと……っ」

真っ赤に頬を染めるクロウリーに、ミランダは微笑んだ。
結局は仲良しなのだ。
「それで、仲直りは……?」
ミランダがきくと、クロウリーは途端にしゅんとした表情になった。

「クロウリィー!!」

ぱんっ!と弾かれるようにクロウリーが顔を上げる。
廊下の向こうから、アレンが慌てた様子で駆けてくる。
ミランダはあら、と笑うと、じゃあ先に行ってますねと去って行った。
「クロウリ…」
はぁはぁと荒い息を吐きながら、アレンがクロウリーの前まで来る。
「アレン…そんなに急いで、どうしたであるか?」
「クロウリーに、謝ろうと、思ったんです」
ぎゅう、とアレンの腕がクロウリーに回された。
「ラビに、怒られ、ちゃいました。
…照れてただけなのに、強く言っちゃって済みませんでした」
「…人前であんな事を言うのは、止めてほしいである」
クロウリーの手も、控え目にアレンに回される。
アレンはそれに気付くと、クロウリーを抱く腕に更に力を込めた。
「はい。
でも、本当です」
「……嬉しいである」
ちゅ、とアレンの額にキスがおちた。
顔が真っ赤になっているクロウリーの口唇に、アレンはにっこり笑って口付ける。
「愛してます」
クロウリーは、少し困ったように笑ってもう一度キスをした。

fin


後書き

山無しオチ無し意味無しです。
うーん、アレン君が馬鹿ですねぇ(笑)
……あんまり語ることもねぇぜ(笑)


write2007/4/29
up2007/4/29

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