StoryV

□Trianglism.
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貴方はそうやって

又僕を挑発する

止めてと幾度懇願しても

又そうやって繰り返す


  《Trianglism.》

今僕は、その白い肌を傷付けたくて堪らない。
(だって)
貴方が僕以外を見つめるから。
「クロウリー」
「あ、アレンも話すさ」
「すいませんラビ、用事があって。
クロウリー、ちょっと」
あ、そうなん?とへらりと笑っているラビの隣で、彼は僕の目を一瞬覗き見てびくりとし、さっと視線を逸らした。
怖がるなんて虫の良い。これ迄何度も言ってきたのに。

『僕以外を見ないで下さい』って。

「ラビ、少し失礼する」
「ん、じゃ又後で話すさ」
「ああ、又後…ひッ!」
又?
さっきの今で良い根性してますね、とニッコリ睨むと、クロウリーは声を詰まらせ身を竦める。
脂汗を浮かべる姿は可愛らしく、僕は気持ち機嫌を直して、ラビにじゃあ又とにこやかに別れを告げると、彼を先に行かせつつ、目的地へと歩き出した。
「わかってますよね、クロウリー」
「ア、アレン」
「僕の部屋まで、真っ直ぐ行くんです」
逃げようとしたら…
そこまで言って言葉を止めると、クロウリーの顔色がサッと白くなった。
ああ、分かりやすい貴方が大好きです、クロウリー。
「わ…分かっているである…」
その涙声こそ、これからの時間、一番のBGM。


「どうぞ」
扉の位置で立ち止まったクロウリーに、ニッコリ先に行けと背をつつく。
「僕の部屋ですから遠慮なく」
あくまでも、自発的に入ってもらう。
「ああ、それとも…」
僕はそっと彼の腰に手を回しながら言う。

「見られながらの方が良いですか?」

彼は漸く、僕の部屋へと足を踏み入れた。


「クロウリー…」
「アアアアレン?」
僕はベットへとクロウリーを押し倒していた。
汗をかいて半泣きの彼の胸に、へたりと頭を乗せる。
ああ、心臓の音がする。普段の倍の速さで。
「アレン、あの、聞いてほしいである、あの」
「どうして分かってくれないんですか?
毎回言ってるのに」
ばく、とクロウリーの心臓が跳ねた。
「僕以外を見ないでくれるだけで良いんです。
ねぇクロウリー。何時も言ってるじゃないですか。
僕以外を見たりしたら…」
バク、バク、バク、バク…。不規則な心音が大きく速くなり、僕は笑いを堪え切れない。
ちょっ…とだけ、声を低める。
「ねぇ…お仕置きですよ。って…」
ピー――――。
心音が一瞬停まったように聞こえた。

  
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