StoryV

□ゆめみるスカーレット
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「あ、クロウリーだ」
「何やってんさ…って誰あれ!?」
「………おい」

   《ゆめみるスカーレット》

「…………何やってやがる、ノア!」

神田はチャキリとイノセンスである刀の鯉口を切り、目の前であれ、びっくりした顔を見せながら食事を摂る泣き黒子の男を睨み付けた。

「此処が何処か分かってんのか…!」

そう、此処は何を隠そう男、ノアの一族であるティキ・ミックの宿敵、対アクマ機関黒の教団総本部内の食堂だ。
しかし男の方はそんな事など気にする様子もなく、隣り合って座っている者の手から食事を賜っている。

「あ、アレン、ラビ、神田、おはようである」

かわゆらしいスウィートスマイルで三人に挨拶をして、フォークを手にしてティキに差し出すその者とは、エクソシストの一人であるアレイスター・クロウリー。

「おはよ、少年達」

神田の殺気を無視して挨拶をした男は、暢気にそう言った。
そして、戦闘に持ち込むそぶりもなくあっさり頭を逸らすとダンナ〜、と甘えた声を出す。
クロウリーもその声に応えその顔をティキに向ける。

「はい、あーんであるvV」
「あーんvV」
「美味しいであるか?」
「美味いよvV」

何処からか花や点描が現れて、幸せそうな顔を惜し気もなく晒している二人を飾る。

「あ、口唇にソースが」
「ん?何処?」
「此処…ほら、取れたである」
「んっ」
「ひゃっ!?ティティティティキ!」
「ダンナの指、んまいvV」
「〜〜〜〜〜!」

目の前でいちゃこき始めやがる二人に、神田はしばし唖然としたが、はっとして六幻を完全に抜いた。
声を低め、ティキに唸る。

「ふざけてんのか…!お前が何「何してるんですか!そこからどいて下さい!」

その声を遮ったのは、先程まで神田の背後で茫然自失していたアレンだった。

「おい、ちょっ「クロちゃんに手ェ出していいのはクロちゃんに選ばれた奴だけさ!」
「クロウリーは教団規則第125条で誰も手出ししてはいけないって保護されてるんですよ!!」

神田に被せるようにラビが割り込み、アレンへの突っ込みは掻き消された。
ぴくぴくとこめかみを震わせながら、神田は六幻を振り上げる。

「………おいモヤシ、馬鹿兎…一遍逝く「あ、じゃやっぱ俺は手ェ出して良いんじゃん」

神田?誰ソレと言わんばかりにティキが発言して、え、とアレンとラビが硬直する。
ティキはにっこり笑って、クロウリーの腰に手を回し抱き寄せ、その白く柔かい頬にキスをした。

「ティ、ティキっ…」
「ダンナは俺が好きなんだよな?」
「ひ、人前でやめるである」
「な?」
「……う…。…そ、うである…」
「ダンナは俺の恋人だもんな〜?」
「…あ、いゃ、う……」
「あれ、違ったっけ?」
「…っ意地悪ティキ!知らないであるっ!」

うわダンナ可愛いvV
そう歓喜の声を上げティキがクロウリーにのしかかり体中にキスを始める横で、アレンとラビが悲痛な声で嘘だそんな馬鹿なと絶叫し、近くで耳をそばだてていた教団員達は滂沱を禁じ得なかった様子で、食堂内は一瞬にして阿鼻叫喚の装丁を見せる。

そんな中、食堂の隅では誰にも相手をされずにだらんと六幻をぶら下げ遠い目をしている神田が、小さく「旅に出よっかなぁ」とつぶやいていた。

fin


後書き

……あれ何この痛いギャグ。
おかしいな、クロちゃんが出てこない。
神田オチだし……。
でもすっごい楽しんで書きました!

……いや、あの、ほんと……

すいませんでした。(埋)


黒眼様1800キリリク
《バカップルなティキクロ←全》


write2007/5/5
up2007/5/10

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