StoryV

□クァイェット
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クロウリーが席を立つ。

脂汗をその額に滲ませて、歩き難そうに、よたよたと歩いていく。

ぱたりとトイレのドアをくぐり、その広い背中が見えなくなった。

また、犯されたんですか?

後処理の仕方を知らないのだろうと思う。

お腹を下しているのだ。

いい加減、気付いても良さそうなものだけれど、変なところで無知な人だから、彼は。
(というか、こういうのは普通の知識ではないのだろう)

彼を待っていると、ラビがやって来た。

『またトイレなん?』

「はい」

いい加減、気付いても良さそうなもんなのになぁ。

僕と同じ事を呟いて、クロウリーを犯している張本人はニヤリと笑う。

僕はそれを横目に見て、何を思うでもなくまたトイレのドアに視線を戻す。

『アレンもやっちまえば?
あいつ、丁度良いさぁ』

からからと、ラビが笑った。

「遠慮しときます。
ラビから変な病気が移ってたら嫌ですし」

それに、と心の中で付け足す。
僕はまだ彼から怖がられたくないですし。

トイレから出て来た彼は、こちらにラビが居ると認めると、肩を震わせて後ずさった。

『オカシー』

それを見て、悪趣味にもラビはクツクツと笑う。

元々真面な人だとは思っていなかったけれど、やはりこうしてみると大分イカれているのだと妙に納得する。

まぁ、それをどうとも思わない僕も、真面ではないのかもしれないけれど。

「クロウリー、どうかしましたか?」

僕は彼とラビのことなど全く知らない振りをして、心配口調で彼を呼んだ。

いや、と否定の声と足音。

本当に怖いのだろう、かなり腰が引けている。

こんなにもあからさまなのに、気付かれてないと思える彼は、ある意味すごい。

『クーロちゃん♪』

ラビがクロウリーの腕を取る。

ひぃと洩れた悲鳴に、ラビが小さくにたついたのが見えた。

『じゃ、オレは行くから』

何しにきたんですか、と思いながら、じゃあまたと挨拶する。

まぁ、多分下してるのを見にきたんだろう。(変態だ。)

帰り際に何か彼に耳打ちをして、彼の顔色が真っ青になると楽しそうに歩いていった。

「…クロウリー」

にっこり笑って、その震える手を取る。

具合、悪いんですか?医療班に診てもらいましょうか。

白々しくそういって、付き添って歩き出す。

クロウリーはホッとした顔で僕の手を握り返した。

……クロウリーは愚かですね。

いや、純粋、というのか。

何度汚されても、ラビを突き放すこともないし、僕の真意に気付くこともない。

僕だってあなたに跨がってみたい。

酷く揺さぶって、僕の印で一杯にして、僕だけを見るように。

でも、僕はラビとは違うんです。

あなたの体があれば良いわけじゃない。

あなたの体が目当てなんじゃない。

……そうですね。

あなたがもし、もしも僕の気持ちに気付いたなら、……

…僕が、下さない方法を教えてあげましょう。

fin


後書き

変態に好かれるクロちゃんの巻。
ぐ、アレンは何故こうも独占欲が強いんだ……!(お前のさじ加減一つだろうがよ)
あーあ、もぅ、クロちゃん、後処理の仕方が分からずに下せば良いよ!(お前も変態だな)


write2007/5/27
up2007/5/27

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