Other's story

□縋る
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無理矢理開かされた体は痛むばかり、ぼんやりと虚空を見上げ、アレンはツゥと涙を流した。
すっかり日常の一部まで成り上がった煙草の煙いニオイも誰のものかも判らない香水のニオイも、今は自分に移り漂う。
顔の見えない暗い部屋の隅から掴み上げられ投げ捨てられた柔らかなベッド。こんなにも冷たいものだっただろうかと思考が再度動き出す。
月明かりの射すシーツの上で、長い長い赤髪のカーテンの中で、何が起こった?
アレンにはまだ理解できなかった。
(………まな)
恐怖に喉がつかえたまま、出ない声でいない人を呼ぶ。
体がばらばらになったような気分だった。
(……マナ)
嗚呼、と酷く押し付けられていた赤い肩に意識を寄せる。
もう、頼るものはない。
アレンは自分を犯した男がワインを持って部屋に戻ってくるのに気付き、ピッタリと涙を止めた。

fin


後書き

師アレは鬼畜ショタ希望。


write2007/11/28
up2007/12/13

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