Other's story

□ただ唯一の。
1ページ/1ページ



『大人しく…しとけ……』

大人達は僕を押さえ付けたまま、その汚い性器を僕に突っ込んだ。

何度も何度も、頭を打ち据えられて、ゲロ塗れの道路に棄てられて。

それでも朝には立ち上がって、その日食べるだけのゴミを漁った。

寂しい?苦しい?

それよりも寒さの方が重要なんだ。

温かいボイラーの側は、強い奴しか寝ることが出来ない。

完全なる力社会。

僕はいつも震えながら、公園やゴミ溜めの隅で眠った。

知っていたことといえば、ごみ箱の位置と、僕が犯される役だという事。

生ゴミが熱を持ってることと、僕が嫌われ者だという事。

金色の綺麗な髪をした子供達を、いつも側溝から見ていた。


『あんたがジャスデビぃ?』


彼女は僕の顔を覗き込んで、ニィと笑った。


『お帰りィ、兄弟』


その瞬間、理解したんだ。



僕はもう

犯されなくていい。ゴミを食べなくていい。物乞いしなくていい。此処に居なくていい。

本当の、家族が迎えに来てくれたんだから。



『大人しくしててくんね?』

僕がそういうと、あいつらは怯えた声を上げた。

『ヒヒッ』

ジャスデロが楽しそうに笑う。

レベル1のアクマが一体。

ゴミを散らしてあいつらを貪った。


『あんたがジャスデビぃ?』

答えはいつだってYESだ。

そしてNOでもある。

僕が最初に求めたのは、僕を知る唯一の存在、『僕』だった。

僕が笑えば、そいつも笑う。

僕が怒れば、そいつも怒る。

鏡のような、もう一人の『僕』。

幸せそうにみえた、光る金髪の、『僕』。

『お帰りィ、兄弟』

「「ただいま、兄弟」」


僕らはジャスデビ。


fin


後書き

暗い暗い背景があれば良い。
ジャスデロとデビットは好きなんですがジャスデビは好きになれませんV○| ̄|_
vsクロウリーが心の傷です……。


write2007/5/5
up2007/5/10

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ