Other's story

□除虫灯
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アレンはラビと並んでコンビニを出ながら、バチバチと音を立てる軒を見上げた。
「あ、…除虫灯」
ラビはそんなアレンを見ながら早く行こうぜと急かす。
ラビの腕の中で、温かいおでんがチャポリ汁を鳴らす。
何時間も前に夕飯時は過ぎている。どこかよそよそしくなった町並みを、寒さに半歩づつ近寄ってあるいていく。
「除虫灯が嫌いなんです」
「アレンって虫だったんか」
そんな訳無いでしょう、とアレンが白い息を吐きながらラビを見た。
ラビは前を向いたままだ。
「で、何で?」
ラビのウォレットチェーンがちゃり、と鳴って、財布から道端の自販機の中に二百円が落ちる。
自販機の周りにも、羽虫が飛び交っている。
ガコン、と取り出し口に温かいコーヒーが落ちた。
「アレン、何飲む」
「あ、自分で」
「カフェオレで良いさ?」
「…はい」
ちゃり、と追加のコインの後、ガコン、落下音がもう一度。
はいと渡された缶を受け取り、ありがとうと言う時にはもうラビは歩き出していた。
「…待って、下さい」
ラビに追い付くために少し早足に、アレンは歩を進めた。
「で、何で嫌いなんさ」
ラビはコーヒーを一口飲み下して問う。
アレンは、缶を腕のビニールに仕舞いながら、
「ラビにはきっとわかりませんよ」
と薄く笑った。


《お願いだから誘惑しないで、拒絶される位なら光等無くても構わないから》

fin


後書き

ラビが除虫灯。
家に帰ればクロちゃんが…(笑)
ラビクロ設定で、アレンはいつかは居なくなるラビに依存気味なクロちゃんを心配しています。
とかどうですか?(笑)


write2007/10/14
up2007/10/15

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