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□御 へ゛ん 虚 ゥ 。
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死にたいと呟く悲痛な声。
栓を忘れて流れる涙。
何もかも失った蒼白の頬。
精気の無い澱んだ瞳。

オレは背中を震わせた。
その強烈で凄絶な感情は、ずっとオレが知りたくて仕方の無かったものに違いなかった。
利己的で傲慢なニンゲンが唯一見せる僅かな光。
オレは酷く稀有なその男の『愛』に照らされながら、背筋を駆け抜ける警告にも似た喜びを感じていた。

知りたい。
知りたい、『愛』を。
どんなニンゲンも抗う術無く壊れて、狂って、侵されて仕舞う『愛』を、決して朽ちることは無いそれを。


《御 へ゛ん 虚 ゥ 。》
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