Story\

□PRESENT
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「ティー―――っキぃー―――」
椅子に腰掛けて本を開いているティキに後ろからぶら下がり、ロードは耳元に息を吹きかけた。ティキはそんな悪戯には慣れ切った様子で、表情も変えずに後ろを振り向く。
「何?」
「字も読めないのに本読む振りとか止めて、僕と遊ぼォ〜?」
どうやら退屈を持て余しているらしい。ねェ、と小さな手の平がティキの髪を引き、細い腕がその首を絞めた。ティキはこらこら、と苦笑して、優しくそのまとわる体を解く。
「ダーメ。これでも本当に読書中なの。ほら、他にも遊んでくれる奴はいんだろ?」
「ヤダ、ティッキーが良いのォ!」
ぶう、と頬を膨らませたお姫様に、ティきはやれやれといった表情で何でだよ、と苦笑いを見せた。
「買い物に行くから荷物持ち」
にこり、とロードが笑う。
ティキががくりとこうべを垂れた。ロードがどうしたの?とその後頭部をぽんぽんと叩く。
「あのなぁ……それこそ俺じゃなくてアクマでも連れてけよ」
呆れた様子のティキがほら、と合図をすると、部屋のドアが開き、三人ほどの男たちが入ってくる。男たちは身なりはきちんとしているが、その顔には表情が無く、どこか不自然な雰囲気を纏う。
「オ呼ビデスカ、のあサマ」
中央に立った男がぎこちない喋り方でティキに話しかける。ティキはあぁ、とロードを膝に乗せ、こいつを街に連れてってくれ、と命じた。えー、と膝の上から不満げな声が漏れるが、ティキはそれを聞こえないふりでやり過ごす。
「ハイ、カシコマリマシタ」
男達が慇懃に頭を下げた途端――――――
ドォンッッッ
男の内の一人が吹き飛んだ。
「……オイオイ」
キャハハハ、と笑うロードを、ティキが溜息を吐きながら見遣る。ロードはティキの膝からぴょんと跳んで降りると、仕方ないからコイツラと行ってきてあげるゥ、と歩き出す。残った男の一人の肩に乗って、そうだ、とロードは振り返った。
「意地悪ティッキーにはお土産買ってきてあげないからねー」
べぇ、と舌を出して言うロードに、ティキはいはいと手を振った。


「ただいまァ」
ばたばたと部屋に駆け込んできたロードが、ベッドの中でぐっすり眠っていたティキの上に飛び乗った。
「ッぶはァ!?」
慌てて起きたティキの首にしがみ付き、ロードがきゃらきゃらと笑う。ロード!とティキが声を大きくしても、ロードは楽しげに笑うばかりだ。
ティキはがっくりと肩を落としつつ、部屋の入口に立つ男に目をやって、あ?と首を傾げた。
「おい、何で一人なんだ?」
まだ楽しげに笑うロードに、ティキが尋ねる。ロードはああ、とにこり笑い、
「壊れちゃった♪」
とのたまった。またか、とティキは渋い顔をするが、ロードは気にしない。それどころか酷くご機嫌そうにティキの手を引っ張り、良いもの上げよっか?と目をキラリ輝かせる。
ティキがえ?とロードを見ると、出して、とロードは部屋の入口に立つ男に合図した。
「ホントは何にも買ってきてあげないつもりだったんだけど、」
男が、抱えていた大きな包みを解き床に放る。
「ティッキーがだァい好きなイイモノ見つけちゃったんだ〜」
ドサリ、出てきたのは。
「お土産だよォ♪」
「……え……?」
黒衣、の。
「…………ダン、ナ?」
きゃらきゃらと、ロードが楽しげに笑った。

fin


後書き

自爆はレロが必要?だってレロがいるとギャグになっちゃうじゃないかァ!!!
ティキクロ←ロードなのか、クロ←ティキキャメなのかは定かではありません。
クロたんが生きているかどうかも、定かでは。
という事で、ロードが無邪気でティキが驚く最後のシーンが書きたかっただけのお話でした。


write2009/7/4
up2009/7/11

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