駄文
□奪われたハート(レイあた)
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今日こそはダーリンを…
ラムは浮き立っていた。
手にはハートのキャンディ。
食べると食べた者のハートが頭上に浮き出てきて、それを手にした者に心を奪われてしまう…という、奪われた者はともかく、奪いたい者にとっては、何がなんでも手にしたくなる珍商品だ。
ランから貰ったものの…前回は気付かれて失敗で終わってしまっていた。
だが…実はコッソリ何個か隠し持っていたのだった。
何がなんでもダーリンをうちのモノにするっちゃ♪
ラムはグウグウ寝ているあたるを覗きみた。
「…昼間っからよく寝れるっちゃね〜。うちにとっては好都合だけど…」
あたるの口をこじ開け、キャンディを放り込んだ。
「んっ…ん?」
ゴックリ飲んでしまったあたるが飛び起きる。
「なんだ?おまえ…俺になんか…」
「なんにもしてないっ…ちゃ!!」
慌てて両手を振るラムにあたるは怪訝な顔をした。
良かったっ…ちゃ。
ダーリンにはまだ気付かれてないっちゃ。
早く…あのハートを…。
そろそろと手を伸ばそうとしたその時だった。
『らむ』
突然窓から現れたぶた牛…もといレイが、ラムに飛びついてきた。
「げっ…レイ!なっ…何しに来たっちゃ!帰れっ!!」
「らむ!」
部屋の中で追いかけっこが始まった。
と言っても、追いかけっこ出来るほどの広さのないあたるの部屋だから、同じ場所でぐるぐる回転しているダケなのだが。
やがて、大きなため息をついたあたるが叫んだ。
「うるせー!!追いかけっこなら外でやれっ!!俺の睡眠を邪魔するなっ!!」
ふと脚を止めたレイがあたるを見た。
「な…なんだよ!?」
レイがあたるに飛びかかった。
なんと…!
レイは、あたるの頭上でプカプカ浮いているハートをベロンごっくんと、飲み込んでしまったのだった…。
ラムの顔が強張った。
し…しまった…っちゃ…。
誰がこのような惨事を予想していただろうか…。