駄文
□あなた限定(テンあた パラレル)
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「あたる、あたる」
…名前を呼びながら、何かと懐いてくるテンに頭を悩ませる。
別に懐かれるのは嫌ではない。嫌ではないが…お前、わざとやってる?わざとやってるだろ!?っという思わせぶりなプチセクハラがやたら多いのが曲者だ。
今も何気なく肩に手を回して、身体を密着し、耳元で囁くように話すものだから、テンの吐息が耳を掠める度に、ぞくぞくッ…と身体が震えてしまい、顔が赤くなる。
そもそも、自分達しかいない部屋で、何故にオトコ2人くっついて話さないといけないのか。テンの不審な行動に苛つく。
わざとだな…。
「だ〜か〜ら〜、ベタベタするなって!」
肩に回された手を跳ねのけて、あたるはテンを睨んだ。
「やって…もうすぐラムちゃん帰って来るやん」
「………」
「そしたらオレ…あたるに逢えんくなるし…」
何を言っとるんだか…。そうやって寂しいオーラ出して、気をひこうったって無駄だからなッ。
しおらしく俯くテンの頭を、あたるは思いっきりボコッと殴った。
「何繊細ぶってんだ。逢いたきゃ来ればいいだけのことじゃねぇか。」
「ええんか!?」
殴られた頭を抑えて、はじけたように顔を上げるテンに、何を今更…と呆れ顔であたるは見た。
「いいも悪いも…俺が駄目だ、つってもお前、ゼッタイ来るだろ」
「いや…ラムちゃんに迷惑やろか…って思って…」
テンの言葉にカッと怒りが込み上げてくる。
「あ!?ラム?何言ってんだお前!俺に、だろっフツー!!」
「あ!?…何でお前に遠慮せなアカンねん!!」
プチッ…あたるはついにキレた。誰のせいで使いたくない頭を悩ましてると思ってんだっ!!!
「てめっ、コロスッ!!」
あたるはテンに殴りかかった。
「イテっ…!なにすんねんっ!」
テンも負けじと殴り返した。
「るせっー馬鹿っ!!お前なんかこうしてやるっ!」
「馬鹿ってなんやっ」
「馬鹿はお前しかいないだろっ!馬鹿っ!」
「このッ…」
2人で殴る、蹴るを繰り返していると、階下からあたるの母の怒りの声が上がり、ピタリと止まるテンとあたるだった。
「いて〜っ…痣になったぞ!どおしてくれるんだっ」
自分からけしかけときながら、殴られた頬を押さえて、脇腹を見せるあたるに、オレやって…!!と、テンもあたるに蹴られた顎を押さえながら、脚を見せた。
暫く睨みあいが続いたが、「いっ…て!」突如、つぅッ…と痣の残った脇腹を触られて、あたるが呻く。
「何すんじゃいっ!!!」
「いや〜…オレが帰った後、あたるはこの痣見て、オレを思い出してするんかなぁ…とか思うと、ついっ…」
うっとりしながら、ヘンタイなコトを言い出すテンに、また始まった…と顔を歪ませて、なおも痣に触れようとする淫猥な手から逃げた。
「…するかっアホッ!!お前じゃあるまいし」
呆れたように呟くあたるに、テンが飄々と言ってのけた。
「よおわかったな。オレ、自分の痣見ながら、あたるを想ってヌけるなって思っとったんや♪」
「ヌくなっ!」
妄想癖の強いテンに何を言っても無駄なのはわかっていながらも、つい制止する声を上げてしまう。