駄文
□名を呼んで…(レイあた)
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レイは、あれ以来寝てもさめてもあたるのことで頭がいっぱいだった。
自分を淫らに誘う妖艶な身体。
いったいどうして…。
誰が彼をあんなふうに…。
「ん…レイ…」
あたるの濡れた唇が自分の名を呼ぶ…。
「レイ…レイ…ッ…」
自分に縋りつき、何度も彼は自分を呼んだのだ。
まるで恋人の名を呼ぶみたいに。
ラムから、あれはハートのキャンディのせいなんだ、と説明を受けたが、そんなの酷すぎる…とレイは思った。
だって…自分はラム一筋だったのに…。
なにがカナシくて恋敵に心奪われなきゃならないのだ。
ましてや、恋敵とセックスまでしてしまうなんて…。
ラム以外の…しかもオトコと…。
レイは頭を抱えた。
何度も忘れようと思った。
だけど…目を閉じたら…目蓋の裏側にはあたるがいて、自分の名を呼びながら微笑みながら誘うのだ。
おいで…と。
俺を抱きたいんだろ…?…と。
「あたる…」
名を呼んでみた。
思いのほかその響きが気に入ったレイは、何度もその名を口にした。
名を呼んだら、次は逢いたくなった。
欲深くなっていく自分に呆れながら…それでも…「あたる」と、口にしてみた。
逢いたい…。
名を呼んだら、自分を見てくれるだろうか。
淡い期待に胸を踊らせ、レイは目を閉じた。
END