駄文
□誘(レイあた テンあた パラレル)
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「ただいまっ」
「あら?今日は早いのね」
玄関で靴を脱いでると、あたるの母が驚いたような顔で出て来た。
「ああ…うん…今日は残業なかったから」
「そう。じゃあお風呂入ってきたら?」
1人息子なので、アレコレ世話を焼きたがる母親に苦笑いが浮かぶ。
「…いい時に入るよ。疲れてるから寝る。晩飯はそのまま置いといて」
いいたいコトを伝えて二階の自分の部屋へ上がる。
足元が軽いのは、ラムが居ないからだ。
実家に呼ばれて2、3日星に帰ると言って留守にしている。
そうなのだ!今日から暫く俺は自由なのだっ!
いつもはラムが居ないと、決まって呼び出し掛けてくる面堂も、出張で会社を留守にしている。
嬉しくて心が浮き立つ。
何するかな、と…。
とりあえず、コースケから借りたままでまだ観ていないAVでも観るか。
ラムが居たら観れんからな〜。
AVを観るだけなのに、それすら浮気だと言うオンナはどうかしてるとあたるは思う。
幾ら恋人だから、幾ら奥さんだからって…ソコまで制限されちゃ堪らない。
それこそ、一緒になって何年も経つ恋人や嫁さんで抜く…なんか有り得ないし。
AVは、普通にヤレそうにない人妻や教師や看護婦(あたる希望)やらとの、それこそフツーじゃないシチュエーションで、マンネリ化しつつある脳内を性的興奮で活性化する為に観るものだし、実際抜くと言ってもネタに使うダケだ。
それを他のオンナで抜くのが許せないだの…浮気だの…と怒り狂うラムは許容量がとても狭いんだと思う。
かと言って…ラムが俺以外のオトコで自慰なんかしてたら…やっぱり腹立たしく思うものだが。
俺もたいがい許容量が狭いんだろうな…とあたるは苦笑いを浮かべた。
だからって俺以外でヤルなっ!とか言わないけど。
ソコは暗黙の了解だろう。
お互い知らないでいい、秘密の領域ってトコだ。
俺がしのぶで抜こうが、サクラさんで抜こうが俺の自由なのだ。
あたるはそんなコトを考えながら、服を着替え、窓を閉めようと風にそよぐカーテンを手に取って固まった。