駄文

□狭間(面あた テンあた パラレル)
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 ラムが帰って来て、テンは帰っていった。

 俺の身体に淫らな痕を残して…。


 毎夜、求められるままテンに抱かれたせいか、夜になると身体が火照る。
 だからといって、ラムを抱く気にはならない。
 罪悪感だけがいっそう募るからだ。

 ああ…苦しい…。
 どうしてこんな…。

 「あたる、好きや…好き…」
 何度も耳元で、熱を持った唇で、繰り返された言葉。
 呪文のように囁かれ続け、酔わされた。

 面堂は…俺を抱いても、好きだなんて言葉で俺を縛ったりしない。ただ命令するだけだ。

 抱かせろ、自分以外に股を開くな…と。

 そんな命令に素直に従う俺じゃないけどな。

 自分の意思でテンに抱かれた。
 ワザとアイツの怒りをかうようなことをして…。

 そうまでしてアイツに何を求めているのだろう。

 どうかしてる…。


 テンはそんな俺を知っている。
 知ってるのに俺を責めない。

 俺を愛しそうに抱き締めるオトコは、抱き返される腕を求めない。
 ホントは望んでいる癖に…。
 決してソレを口にはしない。

 見返りを求めない。

 俺は愛されるだけだ。


 まるで…無償の愛だな…。


 違う。違う。違う…。

 俺がそうさせてるんだ。
 俺がそう望んでいるから…。


 アイツの切なく揺れる碧い瞳に溺れるのがコワくて…。


 どうすればいいのかわからない。


 コワい癖に、俺はアイツの優しい腕を求めている。

 抱き締めて…欲しい。

 大丈夫だから…と言って欲しい。

 この歪んだ心を慰めて…。


 俺は人肌に焦がれる身体を持て余したまま、絶え入るように眼を閉じた。


   END
 

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