駄文

□誘う痕(テンあた パラレル)
1ページ/2ページ


 「なぁ、ソレ…どないしたん?」
 テンは浴槽の中から顔を覗かして、身体を洗ってるあたるに問うた。
 以前から気になっていたのだ。

 あたるの肌のところどころに散らばる紅い痕…。

 虫さされかと思っていたが、消えては現れ、減ったと思えば増える…。

 おまけに湯を浴びて濡れた肌に浮かぶソレは、なんともいえない淫靡な雰囲気を醸し出していた。

 顔をちょっと赤らめたあたるは、素っ気なく言い放った。

 「…どうでもいいだろ。ガキは黙ってろ」
 「ガキってなんやねん!」
 「ガキはガキだろ?」
 からかうように言われ、テンは無性に腹が立って仕方なかった。

 わかっている。
 わかっているのだ。
 自分があたるよりも子供だってことは。
 だけど…、いざこうやって年の差を見せつけるように口に出されると、残酷な現実を実感させられ、不意に泣きたくなってしまうのだった。

 何故なら…自分は…目の前のオトコが好きだから…。

 今日だって、急に会いたくなって地球に飛んできた。

 何時までもここでお世話になってられまへん。
 そう言って母親に連れられて星に帰ったものの…あたるとの賑やかな毎日が恋しくてたまらなかった。

 ラムに会うという口実で、こうやって度々地球に訪れている。

 小学生になり、おっきくなった自分を見て欲しかったのだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ