駄文
□惑わす瞳(あた受け)
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まさか…。
僕は自分の目を疑った。
何故なら…あの諸星が…オトコとキスをしていたからだ。
しかも相手は…サクラさんの婚約者とかいうオトコで、なかなかの色男だ。僕よりは劣るが、な。
何故…彼が…オトコの諸星に…!?
僕はそろそろと彼らに気付かれないよう、近づいた。
「ン…しつ…っ…こい…」
諸星が眉を寄せ、彼の唇から逃げるように身体を捻った。
「もう少し…」
彼は逃げる唇を追いかけ、さらに深く唇を合わせた。
諸星の瞳が諦めたように閉じられ、重なった唇から甘い吐息が漏れ始める。
「ふ…っ…んん…」
激しくなっていく舌の音に、僕は次第に興奮していった。
「…も…っ、やだ…」
「嫌?」
「い…や…」
微かに抗う諸星の腰を彼はゆっくり撫でた。
仰け反る背中をいやらしく這い回る指。
彼にしがみついた諸星の瞳が潤み、なんとも言えないせつない表情を見せた。
僕は息を呑んだ。
その表情は…普段見る諸星の表情からは想像出来ないほど色づいて悩ましく、僕の瞳を魅了したからだ。
おいおい…どうしたんだ…。
相手は諸星だぞ!?
僕の焦る気持ちなど素知らぬ表情で、諸星は妖艶に笑った。
まるで…僕を誘発するように…。