駄文
□奪われたハート(レイあた)
2ページ/3ページ
「ダー…リン?」
ラムは恐る恐るあたるの顔を覗き込んだ。
そして…絶句する。
何故なら、瞳を潤ませ、顔を赤らめたあたるの視線の先にはレイ。
「レイっ!!好きだああっ…!!」
突如あたるがレイに飛びついた。
突然のあたるからの抱擁に、レイは慌ててあたるを突き飛ばした。
なおも抱きついてくるあたるに、レイが怯え、縋るようにラムを見る。
狼狽えるラム。
そんなまさか…。
まさかあたるのハートをレイが食べてしまうなんて…。
予定外の出来事に、ラムは動揺していた。
「もぉっ!!相変わらずいやしいヤツだっちゃね〜!!ダーリン!レイから離れるっちゃ!!」
ラムは一生懸命あたるをレイから引き剥がそうと試みるのだが、恋の力は無敵だ。
あたるはレイに縋りついて離れようとしない。そればかりか、レイの頬に唇を押し付けようとするのだから、驚いたレイは牛に変身してしまった。
「ぶぎーっ!」
あたるの首を絞めるぶた牛…もといレイ。
「こら!!レイっ!!うちのダーリンに何するっちゃ!」
ラムの怒りの声に渋々手を離したレイだったが、離した途端、あたるにど突かれてしまった。
「何すんじゃいっ!!」
首を押さえ、涙目になって自分をバシバシど突くあたるに、レイはぶぎ?と首を傾げ、人間の姿に戻った。
「レイっ好きだ!!」
再びガバッと抱きつかれ、慌てて牛に変身した。
「げっ…!!」
あたるが飛び退く。
人間の姿に戻る。
「レイっ」
抱きつかれる。
牛になった。
「うげっ!!」
飛び退く。
何回か繰り返して合点がいったレイは、牛のままラムに近寄った。
「らむ…」
怯えた顔であたると自分を交互に見るレイに、苦笑いを浮かべたラムは、「対策方法を調べてくるから、待ってるっちゃ!!」と言って、レイとあたるを置いたまま、飛んでいってしまった。
「おい…、ラムいっちまったぞ!?おまえも帰れよ」
あたるが邪魔だと手を振って帰るよう促した。
レイはなんだかカチンときた。
なんだよ…。
さっきまでオレのこと好きだって、しがみついて離れなかったクセに…。
レイはニヤリと笑い、人間の姿に戻った。