tacit understanding

□初代進学 First Years
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side 赤司郁人



バスケ部がないなら作るまでだ

この結論に至るまでも早かったが、至ってからの行動はもっと早かったように思う

約一名を除いては、だが

まぁ、新設校というのがいいほうに作用し難なく創部まで漕ぎつけた

祥真のおかげであるのが一番大きいだろう

生徒会長様々といったところか

…さて、ほぼ順調といえども問題は次から次へと起こるものだ

現に今‟部長"の役職を誰がやるか、という壁にブチ当たっている



「これは私、郁人を押したいのだけれど…。どうかしら?」

「推薦は嬉しいよ。でも自分はなれないな」

「何かあったの?」

「家の事情で少し、ね。弟が中学で部長をしているんだ。だから僕まで部長になるわけにはいかない」

「そういうところ複雑だよね、郁人の家」

「まぁ、仕方ないんじゃないかな。そもそもあまり目立ちたくはないしね」

「その容姿で目立たないほうがおかしいのだよ」



ふ、と呟かれた声には聞き覚えしかない

変な語尾と可愛らしいソプラノ

確か立海で部長をしていたはずだ



「――…僕は景花を部長に推薦するよ」

「「えっ!?」」

「立海で部長をやっていたんだろう?」



それなら問題ないよね、と続けながら顔を見渡す

すると、急に目を泳がせ始める立海メンバー

―…どうやら、彼女たちにとってこの場で緑間景花の名前が出ることがあり得ないことであり、地雷だったようだ

「…まぁ、僕も出来る限りサポートするから」

「これは、本人次第ですね…」

「楓、これは腹括るしかないね☆」

「――…仕方ないわね」

「うん、じゃあ景花に部長をお願いするよ」

「ま、待つのだよ!!私はやると言ってないのだよ!!」

「諦めなよ、景花。ここまで決まっちゃったら覆らないよ」

「敦季なら私の味方だと思っていたのに!!」

「それじゃあ、あとは副部長ね」

「これは帝光から智弦を推すよ。彼女はプレイで引っ張るタイプの選手だから普段は微妙だけど…」

「景花が持ち前のテンションで引っ張っていくタイプですから、いいかもしれませんね」

「というか本人いないけど、いいの?」

「そんなこと気にしてたらあの子に付き合ってられないよ。すっごいマイペースだし」

「まぁ…、確かにそうね」

「よし、じゃあこれで提出してくるよ」

「あ、お願いするわ」

「うん。ついでに智弦も回収してくる」

「え、どこにいるかわかるんですか?」

「あー、多分屋上かな」

「外好きだよねー」

「本当は屋上立ち入り禁止なんだけどね。…とりあえず、行ってくるよ」

「いってらっしゃーい☆」



誠凛高校女子バスケ部、始動――…
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