不可思議な世界
□悪霊がいっぱい@
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つまらない授業の間は目立たないイヤホンをして机に体を預ける。
小さな頃からのその姿に誰もが何も言わない。
成績保持をしてさえいれば教師はなにも言わなかった。
一番の理由は両親かもしれないが。
そう、それは家庭訪問時に話。
娘さんは授業を聞かずに寝ています。どういう躾をしていますか?
そういう厳しい目をした担任を前に母はのほほんと笑って言った。
まぁ綾女ちゃんったら、バレないようしないとダメよ
うふふと笑って言った母に無表情でごめんねと返事をすると、とろけるような笑みを見せた。
娘は家でしっかり勉強してますよ、成績いいでしょ?先生
と微笑み満足そうに言った母に教師は言葉を紡げなかった。
私の変化に敏感な両親は、大抵の事に感情を荒だたせたりしない。
きっと、無意識に感じ取っているのだろう。
そして、娘が読む本の内容も。
時折図書館から借りる本を眺め話す両親を見かけたから。
でも、昔から変わらない両親に密かに感謝した。
崩れかけの木造校舎には幽霊が出る。
それは、どこの学校にもある怪談話。
実際に出た死人がその拍車を掛けた。
それを知らない外部入学の谷山麻衣は前日聞いた階段を思い出し恐怖と好奇心の混ざった視線を向けた。
まだ早い時間の桜舞う並木道、そんな校舎から少し離れた場所にいる少女にひっ!と声を上げた。
真っ黒な髪をキツく縛ってヘッドホンを付ける陰気な少女が一瞬幽霊に見えたのだ。
そんな麻衣の声にたまたまヘッドホンを外したタイミングが被り振り返ったクラスメートに麻衣は愛想笑いを浮かべた。
「お、おはよ黒田さん!」
話したこと無いクラスメートに綾女は一瞬迷ったがすぐに小さく返事を返した。
そんな綾女に麻衣はあからさまにほっとしながら近づいた。
「昨日聞いたんだけど旧校舎に幽霊が出るってほんとかな?」
急に話し掛ける麻衣に困惑する様子を物ともせず話す麻衣に押される。
そっと合わせて見た旧校舎だが崩れかけが更に不安を増長させるように感じる。
そんな中、麻衣が何かを見つけて歩き出した。
綾女の腕を掴んで。