なっがい夢
□カフェオレと恋バナ
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あの詰めに詰められた日、名無しさんの飼い猫生活がおわった日から幾日か経った。
名無しさんは今、あの日の約束通り、暗殺チーム達の、汚れた衣服の洗濯に励んでいる。
『イルーゾォのパンツ混じってんじゃないすか……凹むから部屋に戻しておいた方がいいっすよね……あっ!メローネ、色移りするからこういう原色の服は弾いておいてって言ったのに……まぁあの人の服は全部原色か……………………………………はぁーあ。』
名無しさんはあの日、雰囲気に押されてがんばりまーす、なんて言ったことを大変後悔している。
『………………洗濯…………めんどくせぇぇぇーーーー。』
廊下の途中にある、共同の洗面所で、イルーゾォのパンツを摘み上げながら嘆いていた。
「……大変そうだね、名無しさん……」
そんな嘆く名無しさんに声を掛けたのは、たまたま通りかかったペッシであった。
『うわっ、ペッシか、びっくりしたー!兄貴と居ないなんて珍しいっすねー』
一瞬驚いたが、ペッシとわかると名無しさんは彼に疲れた笑顔を向けた。ペッシとプロシュートは常にセットだと思っていたので、意外だ。
「今日は兄貴は重要な任務があるんだよ。俺が行ったら足手まといになっちまうからさ……」
どうやら、置いていかれたようだ。ペッシも寂しそうな笑顔を名無しさんに向ける。
『…………お互い大変すねぇ』
「…………俺はまだ兄貴みたいに現場で動けないから仕方ないさ……それより、手伝おうか。」
『んぇ、いいんすかー?せっかくの休みに悪いっすね……』
「休みたくて休んだんじゃないや……俺だって早くみんなの役に立ちたい……何かしてたいんだ。」
眉間に皺を寄せ、真剣に悩んでいる様子のペッシに名無しさんはホロリときた。
(めっちゃいい子だぁ……)
こんないい子が、マフィアの、しかも暗殺チームに所属してるなんて、ペッシの人生を勝手に想像すると余計泣けた。