なっがい夢

□イル式ローマの歩き方part2
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今日もイタリアはいい天気。
名無しさんは乾燥機に入り切らなかった洗濯物を、リビングの横の、小さな庭で干していた。

『……………………ほぇー。雲早えー…………』


正確に言えば干していない。洗濯物片手に、流れる雲を眺めている。

上の空、と辞書でひけば、今の名無しさん、と出てきそうなほど、上の空だった。



ーーー名無しさんはこういうの嫌いぃ?ーーーーーーー




『ギャーーーッ!!あばばばばばばっっ!!!』



名無しさんはせっかく洗った洗濯物を落とし、顔を両手で覆うと、乱暴に擦った。


メローネご乱心事件があってから、照れくさいのと心地悪さを行ったり来たりするような、妙な感覚が離れない。


別に、異性と触れ合うのは初めてではない。彼氏だって、過去にいたこともある。遠い昔のことで、お別れした理由など忘れてしまったが。


まぁとにかくだ。バージンを奪われたわけじゃああるまいし。こんなことで動揺する自分が、野暮ったい気がして、嫌だ。大人になれば、彼氏でもない男と触れ合うことなんて、一回や二回あるんだ。きっと。多分。


(ん?待てよ…………?)


名無しさんは洗濯物を落としたまま目線を斜め上に向けた。



とぉっても大切な事を忘れていた。


よくよく考えれば相手が「メローネ」だということを。

あのいい子なペッシからされた事なら、真剣に受け止め、考えなければいけなかったかもしれない。


が、メローネだ。変態だ。初対面の女性に好きな四十八手を尋ねるやつだ。人の頭皮を舐めるやつだ。目分量で女のバストサイズを当てる天才だ。


(……そうだ!こないだの件に深い意味はない!要するに……なんだ……大人のアレだ……!!)


変態の気まぐれだ。


そう思うと、少し腹立たしいが、同時に肩の力がふっ、と抜ける。

よし、この件はこれでおしまい。



『あーぁ……ま、また洗えばいっか。』

自己完結によって気が晴れた名無しさんは、落とした洗濯物を拾い上げるために目線を落とす。

と、既に落とした洗濯物は、


「…………はい。はたけば大丈夫だよ。」


イルーゾォの手によって拾い上げられていた。
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